2016年08月10日
公的介護保険施設の特徴
2025年問題をご存知でしょうか? 団塊の世代1947年~49年生まれ、約800万人が75歳以
上となり、社会保障費の拡大が必至です。
日本の高齢者比率(総人口における65歳以上の比率)は世界一と言われてます。現役リタイア後
は過去は定年後10年程度でありましたが、現在は平均寿命も男性で80歳以上、女性は86歳以
上と報告されてますが、今後まだまだ伸びる予測が出ております。
この長期に渡る高齢期には予測のつかない事態が発生する可能性があることを我々は忘れてはな
らないでしょう。
今回は、予測のつかない事態のひとつである「介護」について考えてみます。
1.介護や支援が必要な人はどれくらい?
介護や支援を必要としている人はどのくらいいるのでしょうか。厚生労働省によると、
要介護(要支援)認定者数は2013年度は約584万人となり、前年度に比べ約4.0%の
増加となっています。公的介護保険制度がスタートした2000年度と比べると、認定者
数は3倍以上に増えています。
認定者を年齢別にみると、40~64歳の第2号被保険者が約15万人、65歳以上の第1号被
保険者のうち65~74歳の人が約72万人、75歳以上の人が約497万人となっており、75
歳以上の人が約88%を占めています。
注:2006年度から要介護認定の区分が変わりました。要支援が要支援1・2となり、要
介護1相当の人が要介護1と要支援2に振り分けられました。
この改正前に要支援の認定を受け、改正後も認定の有効期間内にある場合は「経過的
要介護」とされていました。
<厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)」/平成25年度>
2.介護や支援が必要な人の割合はどれくらい?
80歳代前半は約3割、後半以降は6割超
要介護者の発生率は、40~64歳では0.4%、65~69歳では3.0%ですが、加齢とともに
急速に高まり、80~84歳では29.9%、85歳以上では60.3%となっています。
☆長寿社会を安心して生きていくためには、「老後保障」とともに将来起こり得る「
介護保障」も視野に入れることが大切です。
3.介護にはどれくらいの年数・費用がかかる?
生命保険文化センターが行った調査で、過去3年間に介護経験がある人に、どのくら
いの期間介護を行ったのかを聞いたところ、介護を行った期間(現在介護を行ってい
る人は、介護を始めてからの経過期間)は平均59.1カ月(4年11カ月)になりました。
4年以上介護した割合も5割を超えています。
また、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改
修や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計が平均80万円、月々の費用が平均7.10
万円となっています。
4.介護の施設はどんなところがあるの?
公的介護保険の施設サービスに指定されている施設は介護老人福祉施設(特別養護老
人ホーム)、介護老人保健施設、 介護療養型医療施設の3つがあります。
要介護と認定された人のみが施設サービス費用の1割(一定以上の所得がある人は3割
)を自己負担 することで利用できます(施設での居住費、食費などは原則、全額自
己負担)。
しかし、要支援の人は利用できず、要介護と認定されて入所の申込みをしても、施設
によっては 待機期間が長くすぐには入所できない場合もあります。(現在約53万人
が待機中)
注:介護老人福祉施設は、原則、要介護3以上が入所要件。
そのような場合には、公的介護保険の施設サービス対象外の施設に入居するという選
択肢もあります。 なかには要支援・要介護の人だけではなく、要介護認定の申請結
果が「自立」だった高齢者を受け入れたり、 食事サービスだけを提供するようなも
のもありますので、ニーズや予算に応じて選択しましょう。
なお、費用は運営主体やサービス内容、地域などによってさまざまですが、一般的に
は有料 老人ホームなどの民営施設の方が費用の負担は大きくなるでしょう。
介護施設の費用と特徴
介護施設に入居するために必要な費用から、介護施設は大きく3つに分類できます。
初期費用・月額費用ともに一定以上の自己負担が求められるものの選択肢やオプションサービス
が豊富な「有料老人ホーム」や「高齢者向け住宅」、
住居としての性格が強く自治体による助成などで比較的費用負担が抑えられている「軽費老人ホ
ーム」や「地域密着型施設(グループホーム)」、
そして初期費用が必要なく月額費用も抑えられて主に重度の要介護者を対象とする「介護保険施
設」です。
※個室と多床室で費用は異なります。多床室は費用が安いものの待機者が多いため、入居難易度
は高くなります。
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
出所:生命保険文化センター
以上のように、経済的にも大きな支出が考えられます。介護状態はいつ開始?いつまで? デ
ータはたくさんありますが、個々の状況で様々なスタイルが発生します。予測はつきません。老
後は我々が生きていく上必ず通る道だという事は確実です。
老後の人生設計には必ず介護も検討され、豊かな人生を送られるよう準備されること切に思いま
す。
入野 泰爾 2016年08月10日