家庭経済の耳寄り情報

2016年08月20日

国税庁ホームページ統計情報から生前贈与の実態を探る

 読者の皆様は国税庁ホームページの統計情報をご存知でしょうか。
統計情報には国税庁と各国税局・国税事務所について、相続税、贈与税、所得税、消費税等の税に関する年ごとの情報が整理されています。
ここ「家庭経済の耳寄り情報」では、最近聞くことが多い生前贈与の実態はどのようになっているかの視点で東京国税局分の統計情報の中から抜粋して分析した結果、以下のことが読み取れましたのでご紹介いたします。

① 平成22年分から平成26年分の贈与による取得財産価額の人数と金額は増加傾向にあり、平成26年分の一人当たりの取得財産価額は約560万円である。同様に、納付税額の人数と金額も増加傾向にあり、一人当たりの納付税額は約100万円である。

② 平成26年分の贈与による取得財産価額の階級は150万円以下が最も人員が多く、200万円以下は人員全体の48%、3,000万円超は1%である。

③ 平成26年分の贈与による取得財産の種類は、取得財産価額全体の内、土地は21%、有価証券は24%、現金預貯金等は43%である。

①から③を通して言えるのは、1人当たりの贈与金額と贈与税はそれ程多くなく(最多の贈与金額は150万円以下)、多額の贈与は殆ど無いことです。
また、贈与の半分弱が現金預貯金等となっていることです。
さて、皆様はどのようにお考えでしょうか(予想していた通りか、予想とはかけ離れていたかなど)。

上記のように国税庁ホームページの統計情報を詳しく見て行くと様々な事が分析できると思われ、相続対策としての生前贈与を考える上で何かのご参考になることがあるかも知れません。是非一度ご覧いただければと思います。


最後に、生前贈与は相続対策にメリットがあることから、皆様の中にもご検討されている方がいらっしゃると思いますので、そのメリットを以下に例示いたします(⇒の右側の文言は贈与におけるキーワードです)。

・相続税を計算するときの相続財産を減らせる場合がある。
・上記によって相続税を減らせる。
・相続発生の前までに、財産を特定の人に確実に渡せる。
・一度に高額の贈与をできる場合がある。⇒ 相続時精算課税
・贈与税が掛からない財産の範囲がある。⇒ 基礎控除 
・早い時期に贈与すると相続税の計算で有利になる。⇒ 相続開始前3年超の暦年課税
・若い世代に贈与すれば有効に使ってもらえる。⇒ 住宅・教育資金
・贈与税が非課税となる財産の範囲があり、贈与税が安くなるか又は掛からない制度がある。
⇒ 住宅取得等資金、配偶者への特定贈与、相続時精算課税、教育資金、結婚・子育て資金

渋谷 弘  2016年08月20日