2016年12月20日
財布が2つあることは良いことでしょうか?
専業主婦世帯から共働き世帯へ世帯割合が転換していく時代に、ライフプランを作成するFPあるいは相談者側両方に重要な視点を示しました。
ライフプランを作成し、様々なライフデザインを具体化していくことがFPの仕事の1つであると言われています。
FPが相談者に対してアドバイスをする場合、ライププランを基礎にして相談にのっていくのですが、ライフプラン作成時に共働き世帯の場合は、従来の夫が働き、妻は専業主婦の場合とは、異なったアプローチが当然ながら必要になります。総務省の「労働力調査(詳細集計)」によれば、平成26年には共働き世帯は1,114万世帯となっています。既に、共働き世帯がメインとなっております。
2名が働いて収入が多くなるのと、ライフプラン作成は楽になるのでしょうか。
単純には、そうはいかないと思われます。もし、2人の意見が異なっていたら、いくら収入が多くてもその世帯の生活が順調に良くなっていくとは思われません。
共働き世帯は、住宅取得時期、子供の教育方針(私立あるいは公立等)、老後の生活等のことについて、2人の考え方を必ず聞き取りすることが、より一層重要となるのではないでしょうか。2人の意見の相違はライフプランの作成に大きな障害になることは明らかです。例えば、貯蓄額の目標について2人の意見が異なれば、キャシュフロー表の数字が決まりません。個々人のライフプランを作成しても、世帯としてはその目標が達成できないという事態になるかもしれません。
さらに、貯蓄、金融資産、不動産、家財及び自動車等の資産は、2人でどのように分割するのでしょうか。この資産管理の面でも問題点があることがわかります。
誰が家計管理をするのかという観点から、共働き世帯のライフプラン作成の特徴を解明していこうと考えると、以下パターンを基準にすると解明しやすくなるのではないでしょうか。
1. 夫あるいは妻が生活費を見る。もう一方の収入はできるだけ貯蓄にまわす。
2. 生活費を夫と妻で一定額ずつ負担する。残りは自由に使う。
3. 家賃は夫、食費は妻といったように費用別に分担する。残りは自由に使う。
4. その場その場で各自が負担する。
共働き世帯の家計管理のパターンの代表的なもの(2016/10/5日本経済新聞より)を上記に上げてみました。
それぞれのパターンに当てはまる世帯もあるでしょうし、一部が当てはまる世帯もあるでしょう。FPが相談を受ける時及び共働き世帯がFPに相談する時に、正確に相談事項を伝えるときの参考になるのではないでしょうか。より明確な視点で共働き世帯を見る目安になるでしょう。
相談者側では、夫婦で定期的に家計について話し合うことです。
家計のお金の流れを明確に把握するには夫婦の会話が必要です。貯蓄額その達成時期、日用品や嗜好品の選択、旅行費の決定などあらゆる分野で夫婦の話し合いは必要で、会話があれば家計管理は良い方向に向かうでしょう。その話し合いがライフプラン作成のため基礎になると言えます。FPとの相談がスムーズに運び、大きな成果を得られる方向になるでしょう。
共働き世帯のライフプランの作成と経済的課題の解決ため、相談者とFP双方が共働き世帯の特徴を把握して、幅広い視点をもって相談を進めましょう。
氏家 勉 2016年12月20日