家庭経済の耳寄り情報

2017年04月20日

シニアに民間医療保険は必要か?

 皆さんは、医療費は健康保険や国民健康保険の公的保険があれば充分だとお考えでしょうか。
健康保険では、高額療養費の給付もあり民間の医療保険は不必要との意見もあります。
一方、健康保険外の治療、差額ベッド代等、また、仕事の負担の影響など公的医療だけでは費用が不足し、心配だから民間医療保険で備えたいというニーズもあります。まさに補完機能といえます。

 昨今、医療保険やがん保険については、生命保険各社のテレビ・コマーシャルが頻繁に流れています。シニアの定義は別として、シニアになると仲間との会話は自然と健康の話となります。重い病は勲章であるかのように生き残った仲間は自分の病気を語りだします。無病息災ではなく一病息災のほうが長生きらしい。無病息災は突然死が襲う可能性があるかもしれません。
誰もが病気になるまでは健康なのです。病老死などの煩悩に支配され長生きするより健康寿命をどう長くすべきか。理想は介護状態なしで天寿を全うできれば幸いです。
センテナリアン(100歳超のお年寄り)は世界で45万人、日本でも6万5千人(2016年)いらっしゃいます。NHKで、あなたもなれる“健康長寿”とういう番組がありました。私にとって衝撃的でした。お酒好きの私も大いに反省しました。

 医療保険の話に戻しましょう。仮に60歳を想定して考えます。
① すでに医療保険に加入している方
② まったく医療保険に加入していない方

①②の方を対象に考えたいと思います。
健康に自信があり自分は病気にならないと確信する方や治療費が自由診療・先進医療などで数千万円かかっても何の影響もない方、そもそも民間医療保険料を払う余裕が全くない方は対象外とさせて頂きます。
①の方 現在加入の医療保険(または医療特約)はどういう保障か、加入時の医療保障ニーズと現時点での医療保障ニーズに違いがあるか、分析が必要です。
 加入保険の確認点は何歳で加入しているか。
 解約返戻金はあるか。
 入院日額はいくらか。
 1入院日数は何日か。
 通算の入院日数は何日か。
 手術代はどのように給付されるか。
 3大疾病などの一時金はあるか。
 先進医療の付加と通算額はいくらか。
 他の特約はあるか。
 保険料はいくらか。
加入当時の証券と設計書など関連書類を入念にチェックすべきです。
良く分からない場合は、当組合の保険グループにお問い合わせください。

次に現在、自分はどのような医療保障が必要なのか、具体的に検討します。

その前に、最近の民間医療保険の条件の傾向を把握したいと思います。国は医療費の抑制のため入院日数の短期化を目指しています。
一般病床の平均在院日数
  平成10年 29.3日、平成25年 17.2日、平成37年(予測)10日から14日
このデータから、医療保険として1入院日数は、30日型とか60日型で十分というという見方もできます。

3大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)の死亡率は低下傾向にあります。現在、脳血管疾患は4位で肺炎が3位となっています。
脳血管疾患の死亡率は減少しましたが、高齢者の脳卒中は入院の長期化の傾向にあります。女性の84歳以上では平均150.5日です。
このため現在は医療保険として、1入院が3大疾病、7大疾病が無制限で給付というのが主流です。脳血管だけ無制限というのがあれば良いのですが見当たりません。
厚労省の平成23年調査によると平均在院日数は、がん20.6日、虚血性心疾患9.5日、脳血管疾患93日、となっています。
 高齢者になると増えていくのが高血圧、糖尿病、高脂血症などで、それらが合わさり重症化する場合も有ります。これは3大疾病一時金の検討が必要です。脳血管以外のがんや心疾患は入院日数が短いので一時金で給付があったほうが良いと思います。

 結局、①のケースの検討の仕方としては、現時点での望むべき医療保障の形を描くことが必要です。その保険料(コスト)を明確にする。年齢が上がると保険料も上がります。現在加入の医療保険の無駄な部分の検討、残したほうが良いのかの検討、つまり、解約か一部解約か、継続かの検討です。両者を比較し、検討します。難儀ですが、現在加入の保険が賞味期限切れでいざというとき何の役にも立たなかったということ無いようにしたいものです。
②のケースでは、予算との調整の中で、いつまでどんな保障が必要かを検討します。①の現時点の医療保障ニーズのあり方と同様です。

 医療保障のニーズを感じている皆様は、シニアだと保険料が高いなどとあきらめずに検討していただきたく思います。健康に生きるためにも治療の選択肢をへらすことのないようしたいものです。

佐藤 博明 2017年04月20日