家庭経済の耳寄り情報

2017年06月30日

老後資金づくりに積立NISAを活用

●老後資金は計画的にコツコツと!
                                   
 高齢者においては毎月赤字の生活を余技なくされているのが現状です。今後の公的年金額の予測も年金生活者においては厳しくなる可能性も考えられます。
総務省「家計調査報告(家計収支編)─平成27年平均速報結果の概況─」(1か月平均額:平成27年)によれば、夫婦世帯(夫65歳以上,妻60歳以上で構成する夫婦一組)のうち平均年齢74.8歳の無職の世帯では実収入が約21万円(税・社会保険料は含む)、消費支出が約24万円で、約3万円の赤字です。税・社会保険料を除くと、実質約6万の赤字が毎月のように発生します。
また、余裕ある老後生活を目指そうとすれば、月間35~38万円は必要ともいわれておりますので約15~17万円ほどが必要資金となります。
自助努力が必要不可欠!
65歳からの老後期間30年と考えますと赤字金額は約2,160万円、ゆとり生活を目指せば、なんと5,760万円にもなります。支出を減らし、生活レベルを落としていくか、資産形成・運用をしていくかを選択しなければなりません。

 老後はまだまだと思っている方!その時が来てからは遅すぎます。平均寿命が長くなり、退職後のセカンドライフは長期化し、インフレにより実質的にお金の価値が目減りしてしまうことも考えられます。これから先の長い時間を豊かで楽しく過ごすために、今のうちから資金の備えをしておきましょう。


●少額からでもできる積立投資のNISA創設

 老後資産づくりをしたいけれど、まとまった資金がないという方には小額からでも投資できるNISAを活用した方法があります。平成29年度税制改正大綱の中で非課税期間が20年、投資上限が年40万円の「積立NISA」が新たに創設され、来年1月より開始されます。
投資上限40万円はやや少ない金額でしょうが、まとまった資金がなくても、この金額は何とか捻出可能な金額ではないでしょうか。日々の家計の見直しなどで資金づくりが現実味を帯びてきます。投資は元本確保を約束するものではありませんが、先を見越した備えのために活用する方法の1つです。この制度は投資の原理原則といわれる長期・分散・積立でリスクの低減が実現できます。また、長期に渡る非課税適用はうれしいですね。

 ・長期 20年間可能(20年間非課税)
 ・分散 株式投資信託
 ・積立 ドルコスト平均法
 (定期定額によるファンドへの投資で最終的な投資信託の平均取得価額を引き下げる効果ある投資法です。)

積立NISAは手元資金が十分でない若年層等の利用を促進する観点から、NISA制度の更なる普及のため創設されました。自分自身のリスク許容度に応じて検討されてはいかがでしょうか。

65歳の現役終了時点でその後のにいくら必要であるか、それぞれ各自でしっかりと計算し、安定的な収入があるうちに資産作りを実行していきましょう。
資産づくりをする上で大切なことは、できるだけ早くはじめて準備期間を長くすることです。
まずは積立投資でコツコツ運用していきましょう。


※平成29 年度税制改正の大綱<平成28 年12 月22 日閣議決定>内容
積立NISAの創設
・積立・分散投資に適した一定の投資信託に対して定期かつ継続的な方法で投資を行う「積立NISA」を創設(年間投資上限額40 万円、非課税期間20 年。現行のNISAとは選択適用)。
 ※詳細等は未だ確定はされていません。
 

なお、NISA等、投資信託にご興味のある方は下記サイトをご参考にして下さい。

 金融庁ホームページ NISA特設サイト

入野 泰爾 2017年06月30日