家庭経済の耳寄り情報

2017年11月20日

共働き・子育て世代に適した住宅とは・・

 「夫婦共働きで子育てを行う世帯数」が「父親が勤め人で母親は専業主婦で子育てを行う世帯数」を上回ったのが2002年、あれから15年経過し、様相は随分変わってきました。 
厚労省の「国民生活基礎調査」(2015年)によりますと、
まず、子育て世帯数そのものが、少子化を背景にして減少しました。1996年から2015年にかけて1,388万世帯から1,182万世帯(▲206万世帯)に減少し、この20年間で15%も減っています。それに伴い、総世帯数に占める割合も31.7%から23.5%へと低下し、子育て世帯は全体の1/4にも満たない状況です。
次に、子育て世帯のうち共働き世帯は、着実に増加し2015年には659万世帯となり、父親勤め人・母親専業主婦世帯352万世帯の約1.9倍となり、その差は拡大しました。
                 
今回は、この若い世代ほど増えている共働き・子育て世帯に焦点を当てて、住宅環境や住宅選びについて考察してみました。

まず、子育て世代の住宅選びで求めている要件ベスト5は次の通りです。
①子育て、教育環境がよい
②実家(特に奥様の実家)に近い
③価格が安い
④駅から近い
⑤会社に近い

もっともな要件ですが、都心エリアでの新築は価格面でなかなか手が出ません。また条件に合う中古戸建は物件数が少なく選択に限界があります。むしろ中古マンションであれば中古戸建より多い物件数で選択肢が多いようです。

また、要件ですが、全てクリアするのは難しいと思いますが、少なくとも①②③の3要件は是非クリアしたいところです。

①保育所、幼稚園、学校、学習塾、習い事、病院などの所在、概要等を調べる。
子育てに関しては、各自治体で独自の支援施策を行っております。HP等を見ますとその自治体独自の取り組みを紹介したり、独自指標によって数値化し「共働き子育てしやすい街 総合ランキング」なども目につきます。

②子どもの幼少期は発熱、病気にかかり易く、保育所・幼稚園で発熱した場合、直ちに呼出しがかかります。緊急時、実家が近くですと助かります。

③低価格は大きな魅力です。(一般的には新築より3~4割安い)その分、ゆとりあるライフプランを組むことができます。又、中古マンションの場合、既存立地エリアを目の当りに見ることができます。
・現物を見て選べる。(日当たり、通風、眺望、騒音、コミュニティーなど)
・周りの生活環境、成熟した街並みや人気のエリアなど好立地が選べる。
逆に、注意したいことは、建物の構造や設備に欠陥がないかということですが、中古マンションの性能検査や売買瑕疵(かし)保険(売買後の瑕疵を保証する保険で売主が加入する)もありますので確認することが大切です。信頼性の高い不動産会社を選ぶのもリスク回避の一つです。

 次に、少し視点を変え、住宅について長期的なライフプランと絡めて考えてみましょう。
仮に、会社員で子ども二人、35歳で中古マンションを購入して居住、65歳定年、二人の子どもは既に独立、定年後は夫婦二人暮らし。そのまま継続して居住するか、駅前の少しスリムなマンションに住替えるか、故郷・地方・田舎暮らしや海外に移住するかなど、ご夫婦の希望するライフプランに基づいた選択肢があります。場合によっては介護施設のお世話になる可能性もありますし、流動的な部分も多分にあります。
そう考えると、35歳で購入した中古マンションは、子どもの成長と共に年月を刻み、子どもが社会人として独立するまで居住拠点としての役目を担うが、65歳定年で人生同様、マンションも一旦区切りをつけてリセットし、定年後は新たなセカンドステージとしてスタートするといった考え方もあるのではないかと思っています。

 今や人生100年時代といわれています。65歳定年後から100歳までの35年間、居住拠点をどこにして、健康で自分らしく元気に生きるには何が必要か、生きがいは何か・・・楽しい課題ではありませんか。

三好 勝  2017年11月20日