2018年08月10日
国土交通省 サブリースに関するトラブルの防止に向けて
サブリースのトラブルを受けて、国土交通省から2018年2月にトラブル防止の通知が出ました。オーナーが勘違いしやすい注意事項の中から家賃保証と免責期間についてお話します。
国土交通省から発表された「サブリース契約を検討されている方は契約後のトラブルにご注意ください!」を基に注意事項を確認します。
サブリースとは、物件所有者(多くは個人オーナー)から不動産会社等が物件を借り上げて、入居者に転貸する契約の事です。
これまでは契約書の不備、説明の不備などでオーナーが勘違いして契約し、その後トラブルになる事例がありました。
今回は賃貸住宅管理業者登録制度に登録された事業者へのルール順守を明確にしてトラブルを防ぐ事が主旨になっています。
国土交通省報道資料の抜粋に【解説】を足して補足します。
引用先 http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000166.html
Ⅰ.賃貸住宅管理業者登録制度
注意点をお話しする前に賃貸住宅管理業者登録制度登録業者が守るルールを確認します。
【サブリースに関する登録制度の主なルール】
a. (重要事項の説明)
・サブリース契約の契約前に、将来の賃料の変動の条件等の重要事項説明を行い、書面を交付します。
・重要事項説明は、一定の実務経験者等が行います。
・契約書に将来の賃料の変動の条件等を記載します。
b. (財産の分別管理)
・オーナーに支払う賃料について、登録業者の財産や他のオーナーの財産と明確に区分して管理します。
c. (管理事務の報告)
・管理状況について定期にオーナーへ報告します。
d. (業務改善に関する勧告等)
・登録業者が登録制度のルールに違反した場合は、国土交通省が登録業者に対して指導、勧告、登録抹消を行います。
Ⅱ.サブリース契約をする際の主な注意点(オーナーの注意点です)
賃貸住宅のローン返済も含めた事業計画やリスクについて、オーナー自らが十分理解する必要があります。
契約の相手方から説明を受け、契約内容や契約期間中の賃料減額などのリスクを十分理解してから契約してください。
【賃料は変更になる場合があります】
・多くのサブリース契約では、定期的に賃料を見直すこととなっています。
・「家賃保証」と謳われていても、入居状況の悪化や近隣の家賃相場の下落により賃料が減額する可能性があります。
『解説』
サブリース会社から「一括家賃保証30年」と謳われ、それが契約書に書かれていてもオーナーの収入になる賃料が減額される事があります。
なぜ、30年の家賃保証契約をしているのに減額交渉出来るかと言いますと、借りている人(サブリース会社)には借地借家法第32条の「賃料減額請求権」があるからです。
借地借家法は借主を守るために作られた法律と言われ、争ってもこれを覆すのは難しい事です。
「家賃保証」は家賃を「支払う」ことを保証するという事であり、「額」は保証しません。
国土交通省の標準契約書にも「賃料は、初回の賃料改定日以前も含めて、賃料改定日以外であっても、借地借家法第32条の規定により、甲と乙による協議等の上、改定されることがある。」と記されています。
サブリース住宅原賃貸借標準契約書 http://www.mlit.go.jp/common/001227823.pdf
・「空室保証」と謳われていても、入居者の募集時等に賃料支払の免責期間が設けられている場合があります。
『解説』
空室保証されていても免責期間が設けられていれば、その期間は賃料が入りません。例えば、「免責期間3ヵ月」であれば、退去後にすぐに新入居者が決まっても、3か月間賃料が入りません。
短期で入居者が入れ替われば、その分賃料収入が無い期間が長くなります。
【契約期間中でも解約されることがあります】
・「30年一括借り上げ」と謳われていても、契約書でサブリース業者から解約することができる旨の規定がある場合は、契約期間中であっても解約される可能性があります。
【契約後の出費もあります】
・オーナーは、サブリース業者が賃貸住宅を使用するために必要な修繕費用を求められる場合があります。
・賃貸住宅の老朽化等による、建物や設備の修繕費用が必要になります。
・賃貸住宅に対する固定資産税は所有者であるオーナーの負担となります。
ここまでが報道資料の抜粋と解説です。
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000166.html
以上になりますが、サブリース契約の「家賃保証」と「免責期間」などを理解せずに契約する事がトラブルの基になります。
不明点等はお近くのFPにご相談ください。
北條 文明 2018年08月10日