家庭経済の耳寄り情報

2019年05月10日

フィンテックが拍車をかける安くて速い海外送金

 皆様の中には、留学中のご子息のために学校に学費を振込む、海外旅行中の家族が怪我や病気で治療費を病院に振込む、海外の美術品を購入する、など様々な理由で海外送金をしたことがある方がいらっしゃるのではないでしょうか?

 海外送金というと大手の銀行に行き、英文の書類を書いて、着金まで3~5日を要して送るのが現在は一般的です。しかも手数料は高額で着金してからでないと正確な金額はわかりません。
これは銀行間でコルレス契約という銀行相互間の為替取引契約を結んでいるコルレス銀行を間に介して送金をする決まりがあるからです。送金銀行や受取銀行がコルレス銀行と契約が無い場合には更に仲介する別の銀行が間に入るというように複数の銀行の流れができます。
そして、それぞれの銀行が送金/受取手数料を取り、さらに通貨が異なるために為替手数料も加わり数千円という高い手数料を取られます。
さらに「何処から何処にいくら送る」という情報はSWIFT(国際銀行間通信協会)のシステムを使うことが決められていて、このシステムによって各銀行に順々に送金指示が出ます。この仕組みが長い送金日数がかかる原因になっています。

 ところが今、銀行革命と言われるフィンテックによって海外送金の不便さが解消されつつあります。

 国際的な送金は毎日多数の取引で膨大な金額が動いています。トランスファーワイズは国内で送金者と別の取引の受取者をマッチングさせることで、海外送金をあたかも国内送金であるかのようにして為替手数料が発生しない仕組みを作りました。為替レートは中央値が適用され、例えば10万円を米国に米ドルで送る場合、送金手数料はわずか849円でしかも着金まで数時間以内で送れます。
ただし、送金手数料は送金額が大きくなるほど高くなりますからトランスファーワイズのサイトで手数料のシミュレーションができますので、ご確認ください。

一方、NTTドコモの“マネートランスファー”は送金手数料が一律1,000円ですので、高額の送金を行う時には割安になりますが、為替手数料が発生しますので、こちらもマネートランスファーのサイトで手数料総額をご確認ください。

さらに、SBI Ripple Asiaの“マネータップ”はビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)で有名になったブロックチェーンと類似した技術を応用して、個人口座間の送金を1回3万円、1日10万円までについては手数料無料で、しかもリアルタイムで行なうサービスを始めました。スマホのアプリから送金ができます。現在は日本国内のみのサービスですが、海外送金でも使える技術ですので、将来は海外送金のサービスも行われるものと期待されます。
この技術は三菱UFJフィナンシャル・グループが米国の高速データ配信会社と共同実験を行っており、さらに大規模な電子決済のシステムが検討されています。

 このように手数料収入を利益の一つとしてきた銀行業界にフィンテックの嵐が巻き起こっています。皆様が嵐に振り回されて不安になることなく、金融業界の変化を正しく理解していただくようKFPはアドバイスをしていきます。

池 俊夫 2019年05月10日