家庭経済の耳寄り情報

2019年05月25日

新しい遺産相続対策【民事信託(家族信託)の活用方法】VOL.4

新しい遺産相続対策【民事信託(家族信託)の活用方法】VOL.4

 シリーズ4回目は「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」についてご紹介致します。
2018年7月20日に厚生労働省から発表された「国民生活基礎調査」によると、核家族化・少子化・晩婚化など時代的変化の背景から、「子供がいない核家族世帯」が、この50年間で約2倍に増加しています。

 子供がいない家族で、相続の際発生する問題は、自宅をメインとした不動産の相続です。
両親の死後、(子供のいない)長男が実家を引き継ぎました。長男の死後は、長男の配偶者が引き継ぎました。ここまでは何も問題ありません。しかし,長男の配偶者が亡くなると事態は一変します。その相続権は、すべて配偶者の法定相続人に移ってしまいます。
長男には2人の兄弟がおり、甥・姪が4人います。思い出がいっぱい詰まった実家が、(義姉の親族とはいえ)長男の親族とはまったく血縁関係のない親族に渡ってしまうのです。これでは残された2人の兄弟やその子供達はやりきれません。「長男の奥さんが存命なあいだは実家に住んでも構わないが、長男の奥さんが亡くなったら、自分達に実家を戻す方法はないものか」という切なる願いを感ずることでしょう。

 その願いにお応え出来る方法が、家族信託による後継ぎ遺贈型受益者連続信託です。
後継ぎ遺贈型受益者連続信託とは、現受益者の有する信託受益権(信託財産より給付を受ける権利)が、受益者の死亡によりあらかじめ“指定された者に順次承継される”旨に関する定めのある信託のことを云います。
お持ちの財産を、あらかじめ決めた人に、複数世代にわたって承継することができる信託です。
例えば、実家をご自身が亡くなったら配偶者に承継し、配偶者が亡くなったら、自分の甥・姪に承継するということを…すなわち受益者の死亡により順に他の者が受益権を取得していくことが出来る様、生前に決めることができます。承継者の決定は、あくまでも“委託者の意思”です。
このケースでは,兄弟2名と甥・姪が4名の計6名が承継者対象となります。その承継順序は、家族会議で決めるも良し、家督としての立場から適任を選定するも良し…自由な選定が可能です。

 受益権の承継は回数に制限はなく,,順次受益者が指定されていても構いません。
ただし、財産を承継することができる受益者の範囲については期間制限があり、その信託期間は信託がされたときから30年となっています。 なお30年を経過した後は、受益権の新たな承継は一度しか認められませんので、ご注意下さい。

 ご興味がある方は、筆者までご連絡ください。
連絡先:moalive05@yahoo.co.jp 滝田まで。
また、ご自分の総資産が知りたい方・相続税がどのくらい掛かるのか気になる方は、「相続税概算自動計算機能付エンディングノート【私の想い】VOL.2」をご利用ください。
当相続ソフトを利用することにより、総資産や相続税概算が簡単に計算できます。

滝田 知一  2019年05月25日