家庭経済の耳寄り情報

2019年07月25日

外貨保険を勧められたけれど、よくわからない!

 銀行などを通じて販売されている、外貨建て保険の残高が増えています。契約者が払った保険料を外貨に換えて運用する商品です。円建てより利回りは高めですが、為替変動のリスクや割高なコストをわからずに契約し、後でトラブルになるケースが目立ってきているようです。

 外貨建て保険はまとまった金額の保険料を一時払いし、保険会社がドル建てや豪ドル建ての資産で10年、20年と長期で運用する商品が主流です。満期で運用が終了するものと、終身で運用するものがあります。
また、運用先を外債に絞るタイプと、外債と株式を組み合わせるタイプがあります。後者は株価変動により資産価値が変わるため変額タイプと呼ばれ、商品性はより複雑になります。

複数の保険会社が、各社タイプの違う商品を販売しています。共通して言えることは、
 
・ 外債で運用する部分について、一定期間経過すると解約返戻金が支払保険料以上になるとうたっていますが、保証されるのはあくまで外貨ベースである
・ 保険商品特有の初期費用および解約控除がかかるため、契約後短期間で解約すると元本割れとなる
・ 外債部分の実質的な利回りは、市場で売られている米国債(期間10年)の利回りよりほとんどの商品で下回っている
・ 運用重視商品の死亡保障は、解約返戻金額(支払保険料は保証)とほぼ同額である

以上の点をふまえて、外貨保険を運用商品として上手に活用する方法は、

◆ 円建ての資金として利用する場合は、解約する時期を確定しない。

例えば、生まれた子供の学資のために18年後の解約返戻率が120%の米ドル建て保険に加入した場合、大学の入学金支払時の為替レートが保険料入金時のレートより円高であればこの保険は解約せず、為替が円安傾向に動き円建ての返戻率が120%超になるまで我慢します。満期金がある商品は米ドルで受け取り円に交換はしません。
その間必要な学資は、学資以外の目的で貯蓄をしている円建て資金を流用します。
その後、円建ての解約返戻金が一時払い保険料の120%を超えた時に解約し、解約返戻金を流用していた他の円建て資金に補てんするようにします。

◆ 運用に手間と時間が掛けることのできる場合は、他の運用商品(外国債券や投資信託)を活用したほうが利益のでる可能性がある。

例えば、外貨保険の外債部分の利回りよりも高い利回りの外国債券を直接市場から購入することが出来る場合や、外貨保険の株式部分の運用コストよりもコストが安い株式投資信託を自分で購入することが出来れば、外貨保険で運用するよりも利益の出る可能性がある。


以上のことから、運用の経験があまりなく、投資信託や債券などの売り買いを自分で直接行う自信がない方でも、外貨保険を活用していくことで一定の利益をあげることは可能です。

一方、保障を重視した外貨保険であれば、年齢にもよりますが、一時払い保険料の1.8倍くらいの死亡保障(外貨ベース)が得られる商品もあります。これらの商品は、相続対策として有効に活用ことができます。

外貨保険に限らず、勧められたまま加入するのではなく、自分のニーズに合っているか丁寧に説明をしてもらい、納得をしたうえで加入することが大切です。

もっと詳しいことをお聞きになりたい時には、神奈川県FP協同組合にご連絡ください。

荒川 衛 2019年07月25日