家庭経済の耳寄り情報

2019年12月10日

低所得者向け公的住居支援制度

 低所得者向けの公的な住居支援制度をご紹介します。原則3ヶ月以内の家賃給付をする「住居確保給付金」、住宅の入居費(敷金・礼金など)を貸付ける生活福祉資金貸付制度の「住宅入居費」等があります。

■住居確保給付金

低所得者に対する生活困窮者自立支援制度の中に住宅確保給付金の支給制度があります。
支援内容は原則3ヶ月以内の家賃支援です。
実施主体は福祉事務所設置自治体の担当部署または委託先です。
横浜の申請窓口は各区役所の福祉保健センター生活支援課生活支援係、川崎は川崎市生活自立・仕事相談センター(だいJOBセンター)です。

給付額は自治体ごとに世帯収入と人数により決まり、上限額もあります。支給であり返済不要です。(表参照)

目的
・離職等により経済的に困窮し、住居を失った又はそのおそれがある者に対し、住居確保給付金を支給することにより、安定した住居の確保と就労自立を図る事です。
・一定程度、就労能力のある(就労経験のある)方に再就職に向け、原則3ヶ月以内(最長9ヶ月まで)という期間において集中して支援します。

住居確保給付金の支給対象者
○ 申請日において65歳未満であって、離職等後2年以内の者
○ 離職等の前に世帯の生計を主として維持していたこと
○ ハローワークに求職の申し込みをしていること
○ 国の雇用施策による給付等を受けていないこと

支給要件(詳細割愛)
・申請月の世帯収入合計額・申請時の世帯の預貯金合計額・就職活動要件(ハローワークでの月2回以上の職業相談、自治体での月4回以上の面接支援等)等の条件があります。
・収入基準額が決まっています。
 (例)横浜市で二人世帯であれば 192,000円未満の世帯です。

参考 各市の住居確保給付金
横浜市
川崎市
相模原市
横須賀市


■住宅入居費

敷金、礼金等住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用の貸付制度です。
都道府県社会福祉協議会が実施する「生活福祉資金貸付制度」の中に「住宅入居費」としての貸付があります。

注意事項(横浜市神奈川区社会福祉協議会ホームページより)
・貸付にあたりましては、事前に十分にご相談(現況や使途、返済計画等)をさせていただきます。目的や世帯の状況により貸付の条件や内容が異なりますので、詳細につきましてはご相談ください。(目的や計画が適当でない場合は、貸付ができないことがあります)

実施主体
・都道府県社会福祉協議会

貸付対象世帯
・必要な資金を他から借りることが困難な「低所得者世帯」
・障害者手帳などの交付を受けた人が属する「障害者世帯」
・65歳以上の高齢者が属する「高齢者世帯」

貸付限度額
・40万円以内で、返済が必要です。

貸付金利子
・連帯保証人を立てる場合は無利子
 連帯保証人を立てない場合は年1.5%

相談・申請窓口
 お住まいの市区町村社会福祉協議会
 参考:政府広報オンライン

以上、簡単ですが住居確保給付金と住宅入居費について記しました。

・上記の制度は低所得者向けの制度であり、生活保護受給者は対象になりません。
・お金を借りる時は基本的に返済計画をキャッシュフロー表にして、確実に返済できるか確認してから借りる事が必要です。
・もし、返済計画が立たずに、売却できる高額資産がない時は借りるのではなく、国民の権利である生活保護制度の利用も選択肢の一つとして考慮して戴きたいと思います。


最後にその他の公的な住宅施策をご紹介します。

■一時生活支援事業(任意事業)
・住居のない生活困窮者に対して一定期間宿泊場所や衣食の提供等を有期で行う事業。
・生活困窮者自立支援相談窓口にご相談ください。(実施主体:福祉事務所設置自治体)

■不動産担保型生活資金
・低所得の高齢者世帯に対して、一定の居住用不動産を担保に生活資金を貸し付ける資金(リバースモーゲージ型)。(実施機関:都道府県社会福祉協議会)

■要保護世帯向け不動産担保型生活資金
・要保護の高齢者世帯に対して、一定の居住用不動産を担保に生活資金を貸し付ける資金(リバースモーゲージ型)。(実施機関:都道府県社会福祉協議会)

■公営住宅制度
・国や地方公共団体が、住宅に困窮する低所得者に対して低額の家賃で住宅を賃貸する制度。

北條 文明 2019年12月10日