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2020年12月10日

知ってお得!!相続税の上手な対応方法

今回は『生命保険』、『小規模宅地等の特例』、『名義預金』及び『非課税贈与』により相続税を下げる方法について説明いたします。

最初に相続税の計算のおさらいをしてみましょう。 
① 課税価格の合計額 = 被相続人の財産の総合計(不動産、金融資産及び動産などの総合計)
② 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数
③ 課税遺産総額 = 課税価格の合計額 - 基礎控除額
④ 生命保険非課税枠(死亡保険金の受取人が相続人) = 500万円×法定相続人数
⑤ 不動産の課税価格には『小規模宅地等の特例』を適用できます。(80%減になります)
相続税の計算は累進課税ですので、生命保険、不動産や贈与などを使用して課税遺産総額を減らすことを検討してみましょう。 分かり易くするために例を使用して説明いたします。

1:『生命保険』を使用して相続税を下げる方法
 Aさん夫婦は子供二人の4人家族で、Aさん(夫)は昨年定年を迎え、子供達は既に就職後、別居しています。退職金を含めてある程度の金融資産が貯まっている一般的な家庭です。
 現在の資産はマンションと預貯金です。マンションは全てAさん(夫)の名義で築30年になり、ローンは完済済みです。マンションの土地の持ち分の相続税評価額が500万円、建物の相続税評価額が900万円です。Aさん(夫)の金融資産7,000万円です。

A)『現状』(生命保険を使用していない)の場合の相続税を調べてみましょう。
 土地に対しては『小規模宅地等の特例』を使用し500万円 × 20% = 100万円になります。 
 課税価格の合計額 = 100(土地) + 900(建物) + 7,000(金融資産) = 8,000万円
 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 3 (妻と二人の子) = 4,800万円 
 課税遺産総額 = 8,000 - 4,800 = 3,200万円
 相続税の総額は350万円になります。法定分割で分割した場合、妻は『配偶者の税額控除により』「0」円になりますが、子供はそれぞれ「87.5」万円の相続税を負担します。

B)そこで『生命保険』を使用した場合の相続税を計算しますと次になります。
 Aさん(夫)は、妻と子供二人にそれぞれ500万円の生命保険を掛けることにしました。金融資産から500万円×3人=1,500万円を生命保険として支出しました。そこで課税価格は次のようになります。
 新しい課税価格の合計額 = 100 + 900 + 5,500(金融資産) = 6,500万円
 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 3 (妻と二人の子) = 4,800万円 
 課税遺産総額 = 6,500 - 4,800 = 1,700万円 ⇒1,500万円減額されます
 相続税の総額は170万円になります。 法定分割で分割した場合、妻は『配偶者の税額控除により』「0」円になりますが、子供はそれぞれ「42.5」万円の相続税を負担します。

考察:生命保険を掛けることにより、子供一人当たり87.5 - 42.5 = 45万円の相続税の減額が出来ます。


2:『二世帯住宅に於いて小規模宅地等の特例』を有効活用して相続税を下げる方法
 小規模宅地等の特例は父親の相続で母親と子供が土地を相続した場合、土地の相続税課税価格を80%減するものです。
 両親が1階に住み、子供家族が2階に住む総2階建ての場合を考えてみます。
 二世帯住宅で全ての面積に『小規模宅地等の特例』が適用されるかは、その構造と登記の方法によります。全ての面積に適用する為には、敷地の名義が父親である事、登記が区分所有されていない事、及び完全分離型でも行き来可能な通路がある場合などに限ります。
 
例えば、路線価が25万円の80坪の土地に二世帯住宅を建てた場合を考えてみます。
A)建物が完全分離型で、内部の行き来可能な通路がある場合(父親の相続を考えます。)
 25万円 × 80(坪) × 3.3 = 6,600万円
 母親分 6,600万円 × 50% = 3,300万円 小規模宅地等の特例適用後⇒ 660万円
 子供分 6,600万円 × 50% = 3,300万円 小規模宅地等の特例適用後⇒ 660万円
 課税遺産総額の敷地分  660万円 + 660万円 = 1,320万円

B)建物が完全分離型で、内部の行き来可能な通路が無い場合(父親の相続を考えます。)
 25万円 × 80(坪) × 3.3 = 6600万円
 母親分 6,600万円 × 50% = 3,300万円 小規模宅地等の特例適用後⇒ 660万円
 子供分 6,600万円 × 50% = 3,300万円 小規模宅地等の特例適用 ⇒ 不可
 課税遺産総額の敷地分  660万円 + 3,300万円 = 3,960万円
 A)との差額 3,960 - 1,320 = 2,640万円

考察:この様に二世帯住宅を建築する時はチョットした工夫で相続税を減額することが出来ます。


3:『名義預金 *』がある場合、相続税の追徴・延滞税を避ける方法
 妻の預金が、被相続人である夫の預金に比べて多い場合、夫の相続が発生した時に『名義預金』と疑われる可能性があります。もし、妻が退職金を受給するか、妻の親から相続した財産がある場合はその証拠となる書類を保管しておくことが重要です。
 妻が専業主婦で退職金や相続財産が無いのに夫より預金が多い場合は、妻の預金は夫のものであると思われます。 
 この場合、夫の預金として相続財産に入れて 相続税を申告する必要があります。相続財産に記載されていないと、相続税の追徴・延滞税の対象になる場合がありますので要注意です。
 注:名義預金:被相続人が自分以外の名義で作った預金で、被相続人の財産となりますので、相続財産として申告しなければなりません。


4:『非課税贈与』を利用する方法
 現在次の非課税贈与がありますので、資金に余裕がある方は子や孫に贈与を行うことにより、相続財産を減らし、相続税を減らすことが出来ますので、ご検討下さい。

A)住宅購入用の資金の直系尊属からの贈与(非課税枠)
 2021年3月31日まで: 省エネ等住宅(1,500万円)、以外(1,000万円)
 2021年12月31日まで:省エネ等住宅(1,200万円)、以外(700万円)
B)30歳未満の子や孫に対しての直系尊属からの贈与
 教育資金:非課税枠は1,500万円(30歳時の残金に課税される)
 その内、学校以外の費用は500万円迄
C)20歳以上50歳未満の子や孫に対しての直系尊属からの贈与
 結婚や子育てのための資金:非課税枠は1,000万円(結婚費用は300万円迄)


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連絡先:webstage@ny.airnet.ne.jp 岩崎まで。
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岩崎 康之 2020年12月10日