家庭経済の耳寄り情報

2021年06月25日

空き家の現状と解決に向けた動き

 空き家問題については、新聞等で頻繁に取り上げられております。私の自宅の隣近所でも2件空き家があり、いつ解決するともなく空き家の近隣住民にとって煩わしい問題です。今回は空き家の現状と解決策の一端について触れてみたいと思います。

1.空き家の現状
平成31年4月26日発表の「総務省統計局平成30年住宅・土地統計調査」によると全国の空き家の状況は以下のとおりです。(空き家の調査は5年毎に行われています。)

 ① 全国空き家率(2018年10月時点)
  A住宅総数 6,242万戸
  B空き家数  846万戸
  B/A=13.6%

 ② 都道府県別空き家率ランキング

   上位5県
  山梨県  21.3%
  和歌山県 20.3%
  長野県  19.5%
  徳島県  19.4%
  高知県  18.9%

   下位5県
  愛知県  11.2%
  神奈川県 10.7%
  東京都  10.6%
  沖縄県  10.2%
  埼玉県  10.2%

 ③ 1都3県で200万戸の空き家が存在しています。
   そのうち東京都は約80万戸あります。

2.空き家ができる原因
  ・相続を契機として発生することが多い。
  ・地方を中心に人口が減少している。
  ・雇用が都会部に集中している。(核家族化)
  ・世帯数の増加以上に住宅数が増えている。
  ・中古住宅市場が発達していない。

3.空き家問題の解決を阻む課題
  ・所有者が多数いて、権利関係の整理が難しく、対策の方法が分からない。
  ・遠方におり、定期的な管理が難しい。
  ・単身高齢世帯について、施設に入所等の理由により、所有者が不在となり、管理がなされない。
  ・中古住宅として売買や賃貸等の意向があっても、ノウハウがない。

4.空き家対策に向けた動き
  ・東京都では、再開発が一段と進む一方、木造家屋の密集地帯もいまだ多い。適正なマンション管理を促す条例を3月施行した。2020年4月から管理組合に管理費や修繕費積立金などの報告を義務付ける予防策に乗り出した。
・東京都大田区は3月、東急電鉄と空き家・空き店舗対策に関する協定を結んだ。区内の東急線沿線で、空き家物件のオーナーと物件をリノベーションして事業したい事業者をつなぐ。
  ・千葉市では自治会やNPO団体などが地域内の空き家を学童保育施設や子供食堂など地域住民が抱える課題解決を目的として活用する場合、耐震改修や内外装改修のための費用の一部を助成する。

 冒頭に触れた私の自宅の空き家は、1件は本人が老人ホームに入り戻る予定はありません。もう1件は所有者が近隣の都県に住んでおり、子供のために残しているようですが、実態は分かりません。
2件とも草木が生い茂りカラスが巣を作ろうと狙っています。
最近行政も「空き家対策推進法」や相続登記の義務化等少し踏み込んだ対策を考えているようです。
ある程度強制力をもたせた法律条例が必要ではないでしょうか。

佐藤 博信  2021年06月25日