家庭経済の耳寄り情報

2021年09月25日

シニアの保険見直しが増えています

シニアの保険見直しが増えています

 若い頃は万一の保障のため何となく勧められるまま、保険に加入していた方は多いと聞きます。
グラフのように平均寿命の短かった1950年頃から1980年頃までは60歳以降の人生は10年余で保険は死亡保障が重要と考えられていました。

 その頃の保険商品は働き盛りの男性の死亡保障を子供の成長に合わせて増減する、日本型の定期付終身保険でした。
ただこの日本型の定期付終身保険の特徴の一つは10年または30年の更新型で保険料が更新の時期に高くなるというものです。
保険料は若い時期ほど安く、年齢が増えれば高くなるという性質があるからです。
現役で昇給も順調に伸びている間は保険料が多少増えてもそれほど気にならなかったのです。

 年金生活を迎えるシニアにとっては保険料の負担は気にかかるところ。
どうにかしたいといって、相談に来る方は大体若い時に加入した保険の中身や、仕組みがよく理解できていないように感じます。
加入時にはしっかりと説明は受けたものの、あまり興味関心がなく勧められるままに加入してしまったのではないでしょうか?
子供も成長し今一番関心のあるリスクは、がんや医療での出費と入院した時の個室代や食事代、諸々の医療費以外の負担のようです。
健康保険での負担は原則3割、70歳以降は現在では2割負担(高収入の方は3割負担)、高額療養費制度もありますので入院、手術の実質負担は思ったより多くはありません。
医療費以外にタクシーでの移動や、交通費、いつもと違う生活の中で出ていく出費、年金生活での限られた収入だけでは心もとない、という気持ちが保険という選択肢なのでしょう。

だからこそ、負担と保障のバランスは大事です。

 死亡保障はもう必要ないので単純に医療やがんの保障にし、終身型に見直すことで、保険料のコストカットができることがあります。
最近受けた69歳の方の事例では、10年の更新型の医療保険に加入していました。そのまま継続した場合次の更新時、76歳での見積もり保険料は約13,000円と高くなりますが、今の年齢で見直した結果保険料は6,200円となり、この保険料は一生あがらないことが分かりました。
家計の見直しの中で保険商品をチェンジするだけで支出が削減、こんなにうれしいことはないとおっしゃっていただけました。

 平均寿命が延び、元気ではつらつとした人生を送るシニアにとって、どこにお金をかけるか重要です。
いつかは必ず来る寿命、だったら健康寿命を延ばしたいですね。

上記図表2件の出典:「令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-」厚生労働省  https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/19/dl/1-01.pdf (令和3年9月5日に利用)

佐藤 房子  2021年09月25日