2022年03月10日
空き家譲渡の3000万円特別控除
空き家問題についてはごみ屋敷を絡めて、相変わらずテレビ、新聞等で多く取り上げられています。国としても、空き家対策特別措置法や、相続登記の義務化等用意していますが、空き家が増える一方の状況が続いています。以前この家庭経済の耳寄り情報(相続)にて空き家問題を取り上げたことがありました。今回は空き家発生が相続を原因とすることが多いので、「空き家譲渡の3000万円特別控除」の2019年度税制改正で実施された要件変更について解説します。
この特別控除は「相続を機に空き家になった自宅を相続した人が、この空き家を3年以内に売却した場合には譲渡所得から3000万円を特別控除できる」という特例です。長期譲渡所得税の税率20%を考えると税金が600万円(3000万円×20%)も少なくなるため効果の大きい税控除です。
ただこの特例には一定の要件があり、残念ながらこの要件に該当せずに適用を受けられなかった人も少なくなかったようです。
税制改正前の要件
•相続を機に空き家になった(相続開始の直前まで被相続人の自宅で、かつ一人暮らしだった)こと
•被相続人が老人ホームに入所していないこと
•相続開始時点で旧耐震基準の家屋(1981年5月31日以前に建築)だったこと
•区分所有建物(分譲マンションなど)でないこと
•建物を取り壊して売却するか、耐震改修をしてから売却すること
•相続開始から3年以内かつ2019年12月31日までに売ること
•売却額が1億円を超えないこと
2019年度税制改正により、特別控除の特例を受けるための要件の一部が見直され、「期間の延長」と「老人ホーム入所でも対象になる」ことになります。特にこの「老人ホーム入所」は比較的多く、これが理由で特例を受けられなかったために売却を断念していた人も多くいました。
また「期間の延長」については、「相続開始から3年以内かつ2023年12月31日までに売ること」ということになりました。
思い出の実家を手放すことは勇気のいることですが、次の世代にまた苦労を掛けないよう売却するか、今回の改正はそれを考える良いきっかけにもなると思われます。
佐藤 博信 2022年03月10日