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2022年05月10日

死亡保険金の非課税限度額でいくら得するか!相続税対策


 相続税法では、国民感情や社会政策的見地などから、相続税の課税対象にならない非課税財産が有ります。
 被相続人の死亡により相続人が受け取った生命保険金等のうち被相続人が負担した保険料に対応する部分について、法定相続人1人について500万円までの金額が非課税財産となり相続財産から除外されます。契約形態は、例として、被相続人が父の場合、契約者(父)被保険者(父)死亡受取人(母、子)となります。

死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数

(例)生命保険加入の場合、軽減される相続税は?法定相続どおり配分する。
① 法定相続人:妻・長女・長男
② 既払保険料:1300万円
③ 保険金額:1500万円
④ 契約者・被保険者:被相続人
⑤ 死亡保険金受取人:被相続人の妻および長女
⑥ 課税価格の合計額:3億円

(1) 生命保険加入の場合
課税価格:3億円+(保険金1500万円-非課税財産1500万円)=3億円
課税遺産総額:3億円-(基礎控除3000万円+600万円×3人)=2億5200万円
相続税の総額:妻(2億5200万円×1/2)×40%-1700万円=3340万円
       子(2億5200万円×1/2×1/2)×30%-700万円=1190万円
        3340万円+(1190万円×2人)=5720万円
納付税額:5720万円×1/2=2860万円 子2人の相続税額
     配偶者は税額軽減でゼロです。

(2) 生命保険未加入の場合
課税価格:3億円+1000万円(既払生命保険料分は支払ってないので、現金として残る)=3億1000万円 以下計算は省略します。
納付税額:6070万円×1/2=3035万円 子2人の相続税額
したがって、税額の軽減効果は、3035万円-2860万円=175万円です。
生命保険加入保険金のメリット1500万円-1300万円=200万円
175万円+200万円=375万円です。

(例)の⑥の課税価格が2億円の場合ですと、税軽減は125万円となりました。また、②③の生命保険ですが、高齢での加入となると払込保険料と生命保険金が大体同じか、生命保険金を超えて支払うケースも出てきます。生命保険金も被保険者=被相続人予定者の方が保険加入年齢をなるべく早く(若く)し長生きですとより効果的です。高齢になると既往症のある方が増えますが、最近では、無選択型(告知の診査もなし)で外貨の終身保険もあり、長く加入できれば為替リスクはありますが、運用も期待できます。

 この生命保険の非課税の活用をしてない方は、ぜひご検討ください。

佐藤 博明  2022年05月10日