2022年06月25日
人生の3大資金(教育・住宅・老後)の内の教育資金に関して
皆様お一人ずつ夢があると思います、この夢を夢で終わらせないために、人生設計(いき方)を準備なさっていることでしょう。 この実現には今後を見通した将来の生活設計(ライフプラン)が必要になってきます。 決められた予算内でライフプランを作成するにあたり、人生の3大資金(教育・住宅・老後)の出費の順番を決めることが大事になります。 その順番は家族構成やご本人の年代によって変わってきます。 乳児から高校生の間のお子様がいるご家族では、教育費が優先順位一番だと思います。なぜならお子様の教育資金はお子様が子供の短い時期にしか対応できません。 一方、住宅資金と老後資金は少し遅れても後から対応可能ですので、今回は教育資金を取り上げます。
教育資金を考えるにあたり、日本の大学卒と高校卒の年収を比較することをお勧めいたします。「厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況 学歴別にみた賃金」によりますと、50代の一番高い収入時の比較では男性の場合、大卒平均年収526.6万円に対し高卒平均年収353.7万円でその差は約1.49倍です。また女子の場合、大卒平均年収382.0万円に対し高卒平均年収234.0万円でその差は約1.63倍です。
企業規模別の可処分所得を比較してみますと、① 1,000人以上の大企業(男女)の生涯可処分所得と退職金の総和は平均値で1億8,073万円、② 100人未満の小企業(男女)の生涯可処分所得と退職金の総和は平均値で1億4126万円です。 その差は1.28倍です。(出典:FPキャプテン 2022年版)
また、企業規模別に業種を加算した可処分所得を比較してみますと、㋐ 1,000人以上の大企業(男女)の情報通信業の生涯可処分所得と退職金の総和は平均値で2億4,775万円、㋑ 100人未満の小企業(男女)の宿泊・飲食業の生涯可処分所得と退職金の総和は平均値で1億316万円です。その差は2.4倍まで広がります。 (出典:FPキャプテン2022年版)
大学等進学には次の表の様に費用がかかりますので、進学資金を準備する必要があります。日本で一番多い進学形態は次のグラフの上から2番目の小中高が公立で、大学が私立文系です。このグラフから分かるように私学大学での教育費は予想以上にかかります。
出典:独立行政法人 日本学生支援機構 日本学生支援機構について (令和元事業年度業務実績等) https://www.jasso.go.jp/about/ir/saiken/__icsFiles/afieldfile/2021/02/24/r1gyomu_jisseki_1.pdf
これらの事実より経済的な理由で大学教育等をあきらめないでもらうために、色々な支援制度(奨学金等)が用意されていますので、この活用を検討していただきたいと思います。現在学生の約35%以上が貸与奨学金を利用されています。
出典: 下記の出典から情報をまとめました
文部科学省 「私立高等学校授業料の実質無償化」について(2020年4月から
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1418201.htm
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm
独立行政法人 日本学生支援機構 給付奨学金の支給額
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/kyufu/kingaku.html
更に年収の少ないご家庭のお子様に「学校教育無償化」として、次の給付を用意していますので、高校を含めて大学等に進学される場合、学校などにご相談していただきたいと思います。
ご参考までに:
一般的にお子様が大企業の給料の良い業種を選んでもらいたいと思うのが親心です。 大企業に就職するためにはそれ相当のよい大学への進学が望まれます。有名大学受験を試験で通るのは大変なことです。有名中高一貫校は有名大学への進学率が高いのでそこを狙う人もいます。 また、本人の学力が定まらないうちに、親の熱心さで幼稚園・小学校から大学までの有名私立一貫校に入学できれば少しは楽に有名大学に進学できると考える人もいます。 勿論、全てを国公立で進むのがよい方法ですが、そのためにはお子様にそれだけの学力が求められます。
これらの背景を考慮し、お子様の教育については夫婦で丹念に決めておくのがよいです。 もし、お子様を幼稚園・小学校から有名一貫校の私学に通わせる場合はその出費に関して予め知っておいた方がよいです。 一般的に有名私立一貫校の幼稚園・小学校低学年では母親同士の付き合いがあります。 この場合の金銭的な出費を覚悟しなければなりません。 この費用は前述の統計値には入っていません。 予めどの様な付き合いなら可能かを考えておくのがよいでしょう。 また、学校によって付き合い方が大変異なりますので、その学校の卒業生や親にお聞きになるのも一つの手段です。 中学以降の私学においてはそのような付き合いはほとんど見受けられません。
まとめ
通常の場合、日本においては、大学まで進学してよりよい職種の大会社に入社した方がお子様の収入が増え、一段上の生活が出来る可能性が高いです。 大学までの教育資金の捻出が難しい場合は色々な給付などを利用して考えてみることが重要になります。 その時に役に立つのが将来の生活設計(ライフプラン)ですので、これを作成して将来に備えることだと思います。 FPはこのライフプラン作成のお手伝いを行いますのでご相談されるのがよいと思います。
岩崎 康之 2022年06月25日