資産を運用する

家庭経済の耳より情報

2024年03月25日

株価が好調な今、何を考えどう行動したら良いか

 日経平均株価が史上最高値を更新し、米国のナスダック株価指数やS&P500株価指数も最高値を付けるなど、日本と米国の株価が好調と連日伝えられています。資産運用を行っている人には大変うれしいことですが、その反面、追加投資することに躊躇する人もいると思います。また、これから資産運用を始める人にとっては、出遅れたと焦りを感じている人もいると思います。この先、さらに株価は上昇するか、調整局面に入り横ばいで推移するか、またはかつてのバブル崩壊のように下がるのかについて予測することは、誰にとっても大変難しいことです。

 また、新しいNISAが2024年1月に開始され、従来型NISAに比べて投資枠の大幅な拡大や投資期間制限の撤廃がされ、大変高い関心を集めています。同時に、米国の大型株500銘柄の株価を基準にしたインデックス(S&P500株価指数)型投資信託や日本を含む先進国および新興国の全世界の株価等を基準にしたインデックス(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)型投資信託を中心に、多くのお金が流入している状況です。

 今、株価が非常に好調で、制度的にも個人の資産運用を後押しする状況になっています。このような時、私たち一般投資家は、どのように考えて資産運用に向き合い、何を行ったらよいのでしょうか。

 第一に、資産運用を継続し、今買いたいと思う金融商品を買うことです。
資産運用に成功する大きなカギは、金融商品を長期保有することです。急激な株価上昇による史上最高値を警戒して、現在保有の金融資産に発生した含み益を現金化し、一時期資産運用から距離を置くことは得策とは思えません。確かに、今が高値で、その後一時株価が下がったときに資産運用を再開するのは理にかなったことのように思えます。しかし、この対応は相場状況を考慮した短期的な資産運用に類似した方法で、現金化した後、いつ資産運用を再開すべきかの判断は、大変難しく、時期を誤る恐れがあります。過去数十年で見ると、社会・経済の発展に合わせて株価は上昇した歴史があり、この流れに乗るためには資産運用のステージから降りることなく、そこに居続けることが大切です。今の史上最高値が一旦下落したとしても、この歴史からすると、いつか必ず更新すると言えます。史上最高値をみて追加投資を控えることや出遅れを感じ焦ることなく、長期保有を念頭に、資産運用を継続し、今買いたいと思う金融商品を買うことが大切です。

 第二に、資産配分のリバランスをすることです。
資産配分のリバランスとは、株式、債券、REIT(不動産投資信託)、金等の資産クラスを、自分が求める期待リターンやリスク許容度に応じて決めた資産配分の比率のバランスが崩れたときに、決めた比率に戻すよう、増えた資産クラスを売却し、比率の下がった資産クラスを購入することです。資産配分は、通常は期待リターンを実現するためにリスクが最も低くなるように、資産クラスの保有比率を決めます。昨今の株価上昇があると、例えば、株式、債券、金を資産クラスとした資産配分の場合、特に株式の比率が増え、バランスが崩れます。バランスが崩れると、リスクを低くするように決めたはずの資産配分でも、リスクが上昇する結果になり、市場が変化したとき、びっくりするような資産変動(自分のリスク許容度を超えた資産変動)に合う確率が増えることになります。株価が好調なこの時に、将来の市場変動に備え、適切なリスク負担を維持するため、資産配分のリバランスを考えるタイミングだと思います。

 第三に、自分が応援したい市場や会社にお金を回そうと考えることです。
とは言っても、資産運用は、寄付や献金ではなく、株価上昇や配当金などでリターンを得ることは、誰もが期待する重大な目的です。そのため、できるだけリターンが期待できる投資信託や株式等を探し購入することで、資産運用するのは当然のことです。その結果、金銭的な見返りを得る一方で、金融資産を持つことは、同時に投資先の市場や会社を応援していることにもなります。例えば、S&P500指数連動したインデックス型投資信託を買うことは、米国の大型株500社を応援していることになりますし、特定企業の株式を持つことはその企業を応援していることになります。株価好調の今、資金的に余裕ができれば、金銭的な見返りを主とした資産運用を行いながら、自分が応援したい市場や会社に関連した投資信託や株式等を持つことで、その市場や会社の発展に自分が貢献できている満足感が得られると思います。貢献できていると思えることは、その金融商品を長く持ちたいとのモチベーションにもなります。その結果として、自然に長期保有することになり、資産運用の成功に繋がります。

 今が株価好調と言うことは、短期的な資産運用を考える人は、保有資産を売却し現金化したり、警戒のあまり資産運用のステージから一時撤退を考えたりすることになります。しかし、長期での資産運用を考える人は、市場は当然変動するもので、その一つの段階程度に捕らえ、あまり気にする必要はありません。長期の資産運用を念頭に置けば、どの時期でもチャンスと考えて良いと思います。将来の市場の株価等の金融商品の価格変動の予測は、だれにとってもほぼ不可能なことですので、私たち一般投資家は、価格変動は予測できないと考え、長期で見ると株価は社会・経済の発展とともに上昇した歴史の法則に従って、適切な資産配分や長期保有できるように工夫しながら、資産運用のステージに留まり続けることが、資産運用で成功に近づく道だと考えます。

西川 敏明 2024年03月25日