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家庭経済の耳より情報

2011年12月20日

ウォーレン・バフェットはどのようにして有望会社を見つけるのか?

 この最近、アメリカの有名な投資家ウォーレン・バフェットが福島に本社がある工具メーカーのタンガロイ社を訪問して注目を浴びました。タンガロイ社はかつて東芝の子会社でしたが、いまはバフェットの出資するオランダの会社の傘下に入っています。バフェットはどのような考え方で投資する会社を選ぶのか、そのポイントをあげてみましょう。

 バフェットが大金持ちになるきっかけとなった、投資術に2つの発見があったといわれています。その2つとは、次のとおりです。
① 永続的な競争優位性をもつ優良企業をどのように見つければいいのか?
② 永続的な競争優位性をもつ優良企業をどのように評価すればいいのか?

ここでいう永続的な競争優位性をもつ優良企業とはどんな企業をいうのかといえば、ブランド価値の高い企業、あるいは取り扱う製品があたかも独占企業のように強い市場支配力を持っている企業をいいます。

 バフェットはそのような企業を探したり、評価したりする手法として、企業の財務諸表(貸借対照表、損益計算表、キャッシュフロー計算書)を徹底的に分析するのです。バフェットの分析手法の一部をここでご紹介いたします。

1.永続的な競争優位性をもつ優良企業は、高い粗利益率を示す傾向にある。
 粗利益とは、売上高-売上原価=売上総利益(粗利益)で計算されます。したがって粗利益率は、売上総利益÷売上高で計算されます。単純にいえば、ものすごく儲かっている企業です。

2.永続的な競争優位性をもつ優良企業は、純利益が右肩上がりである。
 純利益は、売上高から、すべての諸経費と税金を引いた残りが、企業の最終利益である純利益として計算されます。企業の儲けが継続的で、増えつつあるということです。

3.永続的な競争優位性をもつ優良企業は、長期借入金が少額かまたはゼロである。
 長期借入金とは、借入期間が1年を超える借入金をいいます。優良企業は膨大な利益を上げているため、事業の拡大や企業買収の資金を自己資金で賄うことができるので、巨額な借入金を必要としないのです。

4.永続的な競争優位性をもつ優良企業は、内部留保を着実に長期に増加している。
 内部留保は純利益から株主への配当支払いが済んだ後の企業に留保されたものです。内部留保された資金は、企業にとって将来ますます発展する有力な可能性となるのです。

5.永続的な競争優位性をもつ優良企業は、株主資本利益率が高い。
 株主資本利益率は、純利益÷純資産=株主資本利益率 として計算されます。純資産は、資産-負債=純資産 で計算されます。この株主資本利益率が高く、継続されていると、時間の経過とともに企業の価値を増大させ、株価の上昇につながります。

 バフェットはこのような分析方法(ここではその一部ですが)を用いて優良企業を探して、投資をするのです。
そのような企業の株をいつ買うのでしょうか?それは、弱気相場を狙うことだといっています。優良企業ゆえにそれほど割安にならないけれども、長い目で見ればチャンスがあるといわれています。
それでは売り時はいつなのでしょうか?永続的な競争優位性が続く限り、株は手放さないといっています。長く保有すればするほど大きな利益が得られるからです。したがって売る場合は、さらに良い永続的な競争優位性がある企業が出現した場合に乗り換えるときや、保有している企業の永続的な競争優位性が失われてきたときに手放すといっています。

佐伯 好也 2011年12月20日