2017年12月20日
どうなる仮想通貨(暗号通貨)
ビットコインの値上がりが続いています。この原稿を書いている12月8日のビットコインの購入価格は日本円建て1ビットコイン約220万円です。
今年の1月1日に115,294円でしたから今年に入ってから値上がり率は19倍です。14年にはビットコインの取引所の一つである、マウントゴックスが経営破綻し、顧客の預けた多額のお金やビットコインが消失するという事件が起きています。にもかかわらず仮想通貨はその後も増え続け、実際に取引されている仮想通貨としてリストアップされているものは、11月28日現在で1326あり、その時価総額は3121億ドル(約34.7兆円)にのぼっています。本日の価格は以下のサイトでご確認ください。
https://coinmarketcap.com/
https://www.blockchain.com/
仮想通貨は暗号通貨と言われるように、ブロックチェーン(分散化台帳技術)という、高度な情報電達技術によって支えられており、その情報を盗み出すことはほとんど不可能と言われています。しかし、国や中央銀行が関与しない仮想通貨というものがどこまで成長するのかは未知数です。
また、ブロックチェーンによって国民の購買履歴や資産の移動状況をすべて把握できるため、政府はひそかに法定デジタル通貨として発行したいと考えているかもしれません。
では、私たちはこの仮想通貨をどのようにとらえたらいいのでしょうか。
中国の大手仮想通貨取引所「BTCチャイナ」が9月末、ビットコインなどの取引を停止、他の大手も10月末までに同様の措置を取りました。
これは、中国当局が仮想通貨による資金洗浄などを懸念したためと言われています。
また、ビットコインと並び、仮想通貨リップル取引所の元代表が客から預かったお金をだまし取っていた疑いで捜査しているという(読売新聞10月18日)
このように取引が拡大している仮想通貨には取引をめぐるトラブルやマネーロンダリングが急増しており、金融庁も監視を強化しています。
仮想通貨は暗号通貨と呼ばれるように、web上で安全に取引でき、送金も簡単で手数料も安いことから、積極的に使用していこうという流れがあります。国際送金やインターネットショッピングの利用もますます増加すると考えられているのです。一方匿名性が高いため、麻薬取引などの犯罪収益を隠す資金洗浄にも悪用されるため、政府も規制に乗り出しています。
今年4月、取引所を登録制にする改正資金決済法が施行され、10月時点で国内取引所は11社、登録申請中は19社あるといわれています。
また、大手金融機関が仮想通貨を独自に発行する動きもあり、アメリカの証券会社もビットコインを検討しているようです。また、アメリカの先物取引所を運営するCMEグループは、ビットコインの先物の取り引きを今月18日に始めると発表しました。
もはや仮想通貨の普及は止められないかに見えます。
かつてドルは金との互換性があるためにつまり、資産の裏付けがあるため、世界の基軸通貨となりました。しかし、ニクソンショックにより、互換性が保障されなくなったにも関わらず、依然として世界の基軸通貨の地位を保っています。これはアメリカの経済規模が大きいのと、ドルの信用(アメリカ政府当局)によるものでしょう。
現在、国際通貨として決済通貨は米ドル、ユーロ、日本円、英ポンド、スイスフラン、カナダドルなどがありますが、中国の元はまだまだ国際金融社会においては信用されないため、国際通貨とは呼べません。
では、仮想通貨は今後どう展開するのでしょうか。
国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事が示唆に富んだ発言をしているので紹介しておきます。(MONEY VOICE 2017.10.22)
『暗号通貨は、インターネットと同じくらい世界を大きく変えるだろう。それは、各国の中央銀行や従来の銀行業を別のものに置き換え、国家が独占している通貨システムに挑戦する可能性を切り開くものとなる。暗号通貨をめぐるさまざまな混乱や懸念があるが、それも時間が経てば落ち着くはずだ。長期的には、技術そのものによって、国家通貨の在り方や従来の金融仲介業務が暗号通貨によって置き換えられ、今日のような“部分的な”銀行業務に疑問が投げかけられることになるだろう。』
ただし、どんな暗号通貨が世界統一デジタル通貨に採用されるかには言及していません。仮想通貨が、投機から投資対象になるのはいつでしょうか。
大倉 和久 2017年12月20日