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2018年10月30日

金融リテラシー調査と金融トラブル経験者の傾向

金融リテラシー調査と金融トラブル経験者の傾向

 金融リテラシー調査によると「金融トラブルに巻き込まれたことのある人」は「緊急時に備えた資金を確保していない」「期日に遅れずに支払いをする事ができていない」傾向があります。他にも「消費者ローンを利用している」傾向があります。(表1参照、表をクリックすると拡大します)

また「お金を借り過ぎていると感じている」割合(29.5%)は平均(11.4%)より高いのですが、米国の調査では42%であり、決して高い数字ではありません。

 金融リテラシー調査の正答率から課題をみます。全25問の正答率を見ると、全サンプルの正答率は55.6%、金融トラブル経験者の正答率は53.8%で若干正答率が低くなっています。その中でも金融トラブル経験者は家計管理・生活設計・外部の知見活用の正答率が低くなっていますので、FPとしては助言の必要性を感じます。
(表1参照:詳細は参考資料 知るぽると「金融リテラシー調査の統計表」、表にカーソルを当ててクリックすると拡大します)

では、ここで金融リテラシーの問題です。傾向を見てみましょう。
この5問の正答率は 日本:47% 米国:57% です。

問1 複利(5年後)
 100万円を年率2%の利息がつく預金口座に預け入れました。それ以外、この口座への入金や出金がなかった場合、5年後、口座の残高はいくらになっているでしょうか。利息にかかる税金は考慮しないでご回答ください。
(選択子:110万円より多い・ちょうど110万円・110万円より少ない・上記の条件だけでは答えられない・わからない)
 正答率42.9%

問2 インフレ
 インフレ率が2%で、普通預金口座であなたが受け取る利息が1%なら、1年後にこの口座のお金を使ってどれくらいの物を購入することができると思いますか。
(選択子:今日と全く同じだけ物が買える・今日以下しか物が買えない・わからない)
 正答率:55.6%

問3 住宅ローン
 住宅ローンを組む場合、返済期間が15年の場合と30年の場合を比較すると、通常、15年の方が月々の支払い額は多くなるが、支払う金利の総額は少なくなる。
(選択子:正しい・間違っている・わからない)
 正答率:68.4%

問4 分散効果
 1社の株を買うことは、通常、株式投資信託(※)を買うよりも安全な投資である。
 ※何社かの株式に投資する金融商品
(選択子:正しい・間違っている・わからない)
 正答率:45.8%

問5 債券価格
 金利が上がったら、通常、債券価格はどうなるでしょうか。
(選択子:上がる・下がる・変化しない・債券価格と金利の間には何の関係もない・わからない)
 正答率:24%

正答 (1)110万円より多い (2)今日以下しか物が買えない (3)正しい (4)間違っている (5)下がる

結果を見て如何でしょうか?
FPとしては当たり前の事も一般的にはご存じでない方が多くおられます。
特に債券の正答率が低く自己判断での債券購入は控えた方がいいでしょう。

FPやIFA(Independent Financial Advisor 独立系ファイナンシャル・アドバイザー)の助言を必要としている方は多いように思います。

参考資料:「知るぽると」金融リテラシー調査より
金融リテラシー調査の統計表(2016年調査結果)

北條 文明 2018年10月30日