資産を運用する

家庭経済の耳より情報

2020年05月10日

コロナショックでどうする資産運用

 これまで株式市場は何度か大きな暴落を繰り返してきました。87年のブラックマンデー、90年の日本のバブル崩壊、00年のITバブル崩壊、08年のリーマンショック、15年のチャイナショックなど。今回のコロナショック暴落はこれまでの暴落とは質が異なるような気がします。世界経済は食料・医薬品以外のモノの流れがストップし、経済活動そのものが停滞するという前代未聞の状況です。世界経済は急速にグローバル化、サプライチェーン化しており、世界経済全体が回復しないと日本経済も回復困難でしょう。また、原油価格の暴落でエネルギー関連企業も大きな影響を受け、さらに金融界にその影響が及ぶかもしれません。

 多くの投資家はコロナウイルスで投資どころではないかもしれません。これを機会に投資をやめるか、これをチャンスと捉えるか、あなたはどうしますか。

もしあなたに投資経験があり、手元資金があり、リスクストレスが強い方ならアメリカの著名投資家、ウォーレン・バフェット氏の手法がこの暴落時にとるべき行動の参考になるかもしれません。バフェット氏は、リーマンショック前に保有株式を売却し、暴落した株式に買い向かったのです。投資の原則―安く買って高く売るーを実行しました。

 世界同時株価下落時は業績好調で伸びが期待される銘柄でも換金せざるを得ない機関投資家により売られるのです。
日本株もリーマンショック後の安値は08年に日経平均は6994円まで下げたので、その前後で買えればすでに3倍以上になっています。弱気になって投げ売りして換金するのではなく、大きく下げたら買えるように前もって現金を増やすのです。
コロナショック前、株価は高値を更新していたため、手持ち資金のほとんどを投資に回していた投資家が多いのではないでしょうか。
機関投資家は金曜日や連休前に売却することがありますが、これは休日に株価が下落するリスクに備えたものです。
過去の経験則からいえることですが、常にキャッシュポジションをしっかりマネジメントし、危機発生時には時間軸を長い投資スタイルにシフトすることです。時間軸が長ければ急落時に買って何年か寝かすつもりの逆張りが可能になるのです。
個人投資家で大きな含み損を抱えた場合、投げ売りするのではなくしばらく塩漬けし、株価が戻るのをじっと我慢する方が賢明かもしれません。

 株はリスクが高すぎて怖い、投資経験もない人は相場にあまり影響されず、資産運用する方法があります。株価が大きく下落した今、証券会社に新規口座を開設する人が増えているという報道もあります。

これまでの実績から見た場合、長期分散積み立てがお勧めです。
まず、iDeCo、積立NISAなどの節税商品をはじめとする長期分散積み立てでしょうか。
詳細は 金融庁HP「投資の基本」を参照してください。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/knowledge/basic/index.html

ただし、運用対象の投資信託銘柄の満期が今回のような暴落の時期と重なったり、生活上やむなく投信を解約・現金化しなければならないタイミングが、今回のような暴落相場だったら、お金が増えているどころか、元本を下回ってしまうリスクも考えておく必要があります。
(iDeCoは原則途中解約できません)

 若い世代ではお子さんの教育や住宅ローンなどで手持ち資産も少なく、投資どころではないかもしれません。しかし、少額でもいいですから長期可能な「積立投資」を検討されることをお勧めします。たとえ毎月は少額でも長い時間が元手を大きくする。それが投資効果です。
実は長期運用なら、価格変動幅が大きいものを積立投資の対象にするとよいといわれています。株式価格が安い今、株数や口数を多く購入することができ、価格が値上がりしたときに売却すれば大きな運用益が得られます。売却時の価格が最大のポイントになりますから売却時期を選択できることが必須です。
銀行の給与振込口座から自動的に積み立てる形にしておけばストレスなく時間とともに資産が増えていきます。要は、貯める癖をつけることが大切です。

 もし、いくらか手元に運用可能な余裕資金があり、数年間は運用できるなら、大きく下げた国際優良銘柄、高利回り銘柄、株主優待銘柄などを購入し、暴落前の株価近辺に戻るまで保有するのが良いでしょう。
今注目のSDGs銘柄も選択肢かもしれません。クジラといわれる、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や海外機関投資家が好んで買っているといわれています。また、日銀は設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業のETFを積極的に買い入れていますし、J-REITも買い入れしています。
J-REIT(不動産投資信託)は大幅下落で分配金利回りが上昇し、魅力が高まっています。国の緊急事態宣言により、ホテル系や商業施設系は大きなダメージで、今後分配金が減る可能性はあるかもしれません。また、東京五輪が1年延期(または中止か?)され、影響は長期にわたる可能性がありますからその点は注意が必要です。

 2008年のリーマンショックのときと同じく、暴落時は仕込みのチャンスでもあります。
行動経済学の教えるところ、ストレスに耐えられる人は積極的な買い出動もいいかもしれないのです。ただし、グローバル経済が大きく損傷したので、今後二番底、三番底があるかもしれません。
すべからく投資は自己責任でお願いします。
投資相談を希望される方は、KFPのIFA(投資アドバイス)のページもご覧ください。
https://www.fp-kanagawa.com/kinyu/

大倉 和久  2020年05月10日