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家庭経済の耳より情報

2020年09月10日

テスラ株にみる大バカ理論とインデックス投資の罠

 俗にロビンフッターと言われる人をご存じでしょうか?
米国のロビンフット証券が提供する同名のスマホアプリを利用している人をを指すことばで、その取引手数料が無料ということで、急速に普及しています。
利用者の平均年齢は31歳と若者中心で投資初心者が多く、投資額も1,000ドルから2,000ドルと少額取引中心とのことですが、その取引手法は極めて投機的であるとも言われてます。

 そのようなロビンフッターですが、いくら少額投資とはいえ、人数が集まれば市場に大きな影響を及ぼしてきます。昨年末に1,000万人だった利用者数は今年3月で1,300万人に達しているといわれてます。
 
 米国の電気自動車のメーカーであるテスラの株は今年初めから割高だと言われつつ、その後もどんどん上昇してます。
 2月に10兆円の時価総額を超えた時、専門家たちがこの株価は「正当」なものかどうか、答えは恐らくNoだというような記事もネットで見られました。

 テスラ株はその後も上昇し続けて8月11日に株式を8月末に5分割すると発表したこともあり、8月20日には2,000ドルを超えました。
ロビンフッターのような少額投資家には手が出しずらかったテスラ株でも、株価が1/5で買えることになれば投資チャンスが生まれます。

 本来、株式分割は株式市場にとって流動性を増すだけで時価総額には影響しないはずですが、このように、それまでは高額で買えなかった投資家も買えるような株価水準になるため、株価上昇の要因になることもあります。

 このような背景もあり、テスラの株は分割前に比べて8月31日一日で12.6%上昇して498.32ドルとなりました。 時価総額にして4640億ドル(約48兆円)と国内自動車メーカー(トヨタ(22.8兆)、ホンダ(4.9兆)など国内自動車メーカー9社の時価総額合計35.4兆円(9/1現在)をも大きく上回りました。

 米国での時価総額ランキング(2020/9/1)7位 -下表参照
 あらためてテスラ 時価総額47兆円、本当にそれだけの価値がある会社なのでしょうか?

 このように非常に大きな時価総額の会社ですが、9月1日現在テスラは、まだ米国の代表的な株価指標である、S&P500などに採用されていません。
前々から4四半期連続で黒字になればS&P500採用条件をクリア.といわれていて、つい最近の決算でこの条件を達成しました。
でも、黒字の中身をみると温室効果ガスの排出権を売却益とかのウェイトも大きく、本来の自動車の利益ではどうなの?との見方もあるようです。

 この株価はいくらなんでも割高じゃないの?と言われても、S&P500採用が決まれば、その指標を基に運用しているインデックスファンドは自動的に買ってきます。
後で、自分が買った値段よりさらに高値で買ってくれる人(大バカ)がいるから大丈夫と思って買う。
このような需給頼みの強気心理をウォール街では「グレーター・フール・セオリー(大バカ理論)と言っているそうです。

 このようにインデックスファンドは、その株価指標である構成銘柄を決められた配分比率で組み入れて売買するので、個別銘柄の割高、割安には関与しません。
 そのため、毎月の積立投資などで、インデックスファンドに資金が流入すれば、割高であろうが、既に成長性が無くなった会社の株でも買われますので、非効率的とも言えます。
 一方、銘柄を研究して成長性などから見て割安な株でファンドを構成するアクティブファンドというものがあります。でも過去の運用成績をみるとインデックスファンドの方の勝率が高く、投資の比率でみるとアクティブファンドよりインデックスファンドが主流となってきています。
 米国では一般的にオープンエンド型の投信であるミューチュアルファンドは2018年末 純資産総額 約15兆ドル
25年前(1993年末)と比較して約10倍の規模に増加してます。
 日本でもGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によれば2001年度末の国内株式運用に占めるインデックス(パッシブ)運用44%アクティブ運用56%であったものが、毎年インデックスの割合が増加し2019年度末(2020年3月末)ではインデックス運用が9割を超えています。
 インデックス投資は低コストで分散投資が出来て、初心者にとっては、メリットが多いですが、上記のようにインデックスの銘柄の変更や銘柄ごとの投資ウェートの変更が株式市場参加者に利用されて結果的にインデックス投資家の損につながる可能性もあります。

 資産運用では、すべてをインデックス運用にするのではなく、メインはインデックスファンドで運用し、資産の一部はアクティブファンド(つみたてNISAで金融庁が認可したものから選ぶ等)、また自分が得意な分野での企業の成長性を期待できる会社など個別銘柄に投資するのも悪くないと思います。

磯野 正美 2020年09月10日

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