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家庭経済の耳より情報

2021年06月10日

いよいよ現実に!各国の中央銀行がデジタル通貨(CBCD)発行へ

 2019年6月18日アメリカのFacebookは、2020年に「リブラ」というデジタル通貨を発行すると突然発表し世界に衝撃が走りました。

 デジタル通貨の発行の意義は、従来のアナログ通貨(紙幣・貨幣等)をデジタル化することによって、通貨の持つ機能「決済手段」「価値尺度」「価値貯蔵」に新たに「価値創造」(広範な情報やデータを活用する機能)という第4の機能を加え、飛躍的な生産性の向上につなげることにあります。

 しかし、通貨をデジタル化するには、技術的な課題もあります。
第1に、現金が持つ「転々流通性」で、現金が次々に持ち主を変えながら流通する機能を持ち、かつ途中での偽造や二重使用を如何に防止するかの問題です。
第2に、いつだれがどこで使ったかがわからない「現金の匿名性」の問題です。
そして、第3に複製(コピー)の問題で、デジタルデータは無限に複製を繰り返すことが容易に可能となります。

 しかし、ここへきて、これらの課題を解消してくれると期待される技術として「ブロックチェーン」が登場してきました。
「ブロックチェーン」は、「暗号化技術(データの高度な暗号化)」「コンセンサスアリゴリズム(運用ルールの自動化)」「P2P(端末同士が対等な立場で交信する技術)」「分散型台帳(サーバを介さず端末が全て同じデータを保有)」の4つの技術から構成されていて、設計によって、更に「ローコスト」と「高速性」の特性も持ち合わせることができ、デジタル通貨発行の現実化を一気に加速させると期待されています。

 「リブラ」の発表を機に、中国は2022年の北京冬季オリンピックまでには「デジタル人民元」を発行すると発表。昨年末に広東省深セン市で、5万人が約3,400店での買い物にデジタル人民元を使う大規模な実証実験を実施しました。
 また、すでにカンボジアでは中央銀行が世界初のデジタル通貨「バコン(Bakong)」を昨年末発行し、運用を始めています。これには日本のフィンテック企業(ソラミツ)がその開発にかかわっていて注目を集めています。 
 一方、スウェーデンでは、デジタル通貨「eクローナ」の試験運用が始まり、2021年には発行すると発表。世界では、先進国から新興国に至るまで次々にデジタル通貨の発行準備を報じていますし、日本でも日銀が2021年に実証実験をすでに始めています。

 私たちは、10年後には日銀が発行する「デジタル円」を日常的に使用しているかもしれません。おそらく、自分のスマホに、「ウォレット」を設定、「デジタル円」を入れて使いこなし、便利性の高い世界を実現していると思われます。

 今からキャッシュレスに充分慣れ親しんでおくことが大切かもしれません。

土井 健司 2021年06月10日