相続を考える

家庭経済の耳より情報

2024年07月10日

将来相続する可能性がある、不動産の名義人は誰ですか。

 令和6年4月1日から不動産の相続登記申請が義務化されました。相続によって不動産を取得した場合、相続人は所有権の取得を知った日もしくは遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
ところで現在のお住まいの登記上の名義は誰になっているかご存知でしょうか。

 知人の話になりますが、実家のマンションは登記上亡くなられたお父様の名義。昨年介護施設に入居されたお母様に代わり現在は弟さんが住まわれているそうです。固定資産税・都市計画税の通知書は実家に届いているので、特段手続きもして来なかったそうですが、今回の法律改正は令和6年4月1日以前に相続を開始している不動産についても義務化の対象(令和6年4月1日から3年の猶予期間があります)になるため、早めの登記申請手続きをお勧めしています。

 正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の適用対象になるからですが、もう一つ重要な理由があります。
例えば相続のために売却を検討するにしても、亡くなった親名義の不動産はそのままでは売却できません。親名義だと思っていた不動産が、もし亡くなった祖父の名義だった場合はさらにややこしくなります。法定相続人(民法で定める被相続人の財産相続できる人)に当たる親の兄弟姉妹、もし亡くなっていればその相続人になる自身の従兄弟に改めて合意を取り付け、全員分の戸籍謄本、住民票の写し、印鑑証明等の書類も準備して登記を行う必要があるのです。疎遠になっている親族とどう連絡を取るのかも一苦労、その交渉のために弁護士に依頼するとさらに費用も時間もかかってしまいます。

 将来の相続対策の相談をお受けするケースが増えてきていますが、その前に相続する可能性がある不動産の名義が誰なのか、ぜひ確認してください。土地や家、建物、マンションなど不動産の所有者に関する氏名・住所などの情報は、法務局にある登記簿に記載され、一般公開されています。

 私自身も先月妻の実家への帰省ついでに、保管されている登記簿謄本の写しを見せてもらったのですが、所有する自宅や畑などすべて義父の名義になっていてホッとしたところです。義父も義祖母が亡くなってからしばらく相続登記をしていなかったのですが、数年前に資産の整理をした際に名義変更を行なったそうで、相続対策になっていることを喜んでいました。

長尾 孝士 2024年07月10日