2025年11月25日
身寄りのない単身者の老後対策
近年、高齢者の単身化が顕著になっています。国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の単身世帯数は2030年には2025万世帯になると推計されています。
特に、高齢者(65歳以上)の単身世帯は増加傾向にあり、2040年には約900万世帯に達し、65歳以上の世帯の約4割を占めると見込まれています。
身寄りのない単身高齢者の老後には、さまざまな問題が潜んでいます。
いくつかある問題の中から3つに絞って、その対応方法のいくつかをお伝えします。
1. 財産の管理と承継(相続)
法定相続人がいない場合、財産は最終的に国庫に帰属することになります。特定の個人や団体に財産を遺したい場合は、生前に明確な対策が必要です。
●遺言書の作成(必須)
・お世話になった友人、団体、甥・姪など、法定相続人以外に財産を遺したい場合は、遺言書の作成が必須です。
・遺言書がないと、原則として遺産は国庫に入ってしまいます。
・確実に遺言の内容を実現するため、遺言執行者(専門家だけではなく、一般の方を指定することもできます)を選任しておくと安心です。
・最近では、遺言ではなく生前に死亡保険金の受取人を日本赤十字社などの公益法人に指定できる生命保険商品も販売されています。
●財産管理等委任契約
・ご自身の心身が健康なうちに、信頼できる人や専門家(弁護士、司法書士など)に財産管理を任せる契約です。
・日常的な金銭管理や、不動産管理などを委任できます。
・この契約で管理できるのは、原則として生前の財産になります。
・金融機関によっては、事前に代理人登録制度に申し込むことで、代理人が預金の引出しができるところもあります。
2. 療養・介護への備え
判断能力が低下した場合や、入院・施設入所時に身元保証人がいない場合への対策が必要です。
●任意後見契約
・判断能力が低下した場合に備え、あらかじめご自身で選んだ任意後見人(親族や専門家)に、財産管理や介護・医療に関する契約などを任せる契約です。
・これにより、ご自身の意思を反映した生活を送るためのサポートが受けられます。
・契約は必ず公正証書で作成しなければならず、法務局への登記申請が必要となります。
・契約の効力は、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任した時から発生します。
●身元保証サービス
・病院への入院や介護施設への入所の際、身元保証人がいないと手続きができないケースが多いため、民間の身元保証サービスの利用が必要となります。
・身元保証人がいなくても入所できる介護施設もありますので、健康なうちにそのような施設を探しておくことが重要です。
●尊厳死宣言書の作成
・延命治療に関するご自身の意思を明確にしておくことで、最期の迎え方について希望を伝えることができます。
3. 死後の手続き
法定相続人がいないと、亡くなった後の葬儀、納骨、役所への届出、遺品整理などの「死後事務」を行う人がいません。
●死後事務委任契約
・ご自身の死後の手続きを、あらかじめ選んだ人や専門家(弁護士、司法書士など)に委任する契約です。
・これにより、葬儀や埋葬、遺品整理、公共料金の解約などの手続きを滞りなく進めてもらうことができます。
・死後事務委任を遺言書に記載しても効力は認められないので、遺言書とは別に契約する必要があります。
以上、3つの問題についての対策をお伝えいたしましたが、どの対策も当然のことながら相応の費用がかかります。
費用の金額は、対策の内容や依頼先によって大きな違いがあります。
ご自身に本当に必要な対策が何であるかは、人それぞれであり、正解は無いのかもしれません。
いずれにしましても、健康で判断能力があるうちに自分の考えをまとめておくことが大切です。
一人では難しいと思われる方は、当組合にご相談いただければお手伝いをいたします。
荒川 衛 2025年11月25日
