相続を考える

家庭経済の耳より情報

2020年04月25日

相続放棄を選択するうえで知っておくこと

 相続が開始すると相続人には三つの選択肢があります。

①単純承認 権利義務を包括的に承継します。

②限定承認 借金や保証債務があっても、相続した財産を限度として返済義務を持ち、相続に固有の財産には及びません。

③相続放棄 自分が相続人であることを知った時から3か月以内に家庭裁判所に放棄を申述し、受理されたら最初から相続人でなくなり、プラス財産もマイナス財産も相続しません。

 今回は相続放棄に焦点をあて、親族関係に悪くしないための注意点について解説したいと思います。
相続人関係図は下図のとおりです。

上記の親族関係で夫が亡くなった場合に相続放棄をしたとき、気をつけなければならない点があります。

夫には、1,000万円の借金があり、プラスの財産(遺産)がないとした場合

妻と子供は、借金しかないので、相続放棄の手続きをすることとしました。
つまり、妻と子供は法定相続人でなくなりますので、相続人の第二順位として夫の父と母が相続人になります。
妻と子が相続放棄によって、夫の父母に相続権が移ることを知らないのが一般的です。

自分達が相続放棄をすることを前もって夫の父母に知らせておくことで家族関係が悪くなるのを防げます。

夫の父母が相続人の立場になれば、妻と子供の場合と同様に、相続放棄をすることができます。

第一順位妻と子供、第二順位夫の父母が各々相続放棄をすれば、今度は第三順位の姉が相続人になるので、姉が1,000万円の借金を相続しないためには相続放棄をする必要があります。

 以上のように、相続放棄による相続権の移動は相続人の範囲である兄弟姉妹までとなっています。
従って、相続放棄をする前に、自分が相続放棄することで、この場合夫の父母や兄弟姉妹に影響があること知っておきましょう。

佐藤 博信 2020年04月25日