家を持つ

家庭経済の耳より情報

2015年02月20日

共働きご夫婦に落とし穴 ~住宅ローン借り過ぎにご用心~

「建築条件付き分譲宅地 130㎡ 価格3,200万円」

 拙宅から歩いて2、3分のところにあったテニスコート跡地の分譲広告です。半年前、平成26年7月のことです。
このテニスコートは、7面、管理棟併設、ナイター設備まで備えた本格的な施設で、30年以上も前から会員制テニスコートとして、近隣地元住民は元より遠くからも利用者が訪れ、また子供向けスクールを継続するなど老若男女から親しまれてきたものでしたが、現在は全面整地され、一部建築の基礎工事が始まっています。
それにしましても住宅地のど真ん中にあるとはいえ、坪当たり80万円、建物を建てるとゆうに5,000万円を超える金額になります。以前から平均的なサラリーマンが買える住宅は4,000万円位までといわれてきましたが、どういう方が購入されたのか関心があります。
(国税庁H25民間給与実態統計調査 男性35~39歳年収500万円、住宅金融支援機構H25フラット35利用者 土地付注文住宅価格 首都圏4,320万円)

 最近は共働きが当たり前で、夫の年収450万円、妻250万円 合わせると700万円になるので、年収の25%をローン返済に充てるとして変動金利0.775%、借入期間35年で5,000万円の借入れは可能です、頭金は少なくても大丈夫だと住宅展示場の方に言われましたが、どんなものかという相談が多々見受けられます。上記分譲宅地にも該当しますね。

 共働きの場合、順調にいっているときは問題ありませんが、夫が転勤になった、子どもの関係で不具合が生じ、妻が離職した場合、たちまち住宅ローンは「借り過ぎ」状態となって家計破たんに陥ることになります。従って、上記相談の場合、住宅ローンの借入金額は夫の年収をベースに決めるのが定石です。(妻の年収は含めない)
FP的には他にもアドバイス(住宅取得資金計画、自己資金、変動金利リスク、ライフプラン作成など)がありますが、今回は割愛し、視点を変え、共働きを継続するのは容易ではない、ある程度の覚悟が必要であるということに焦点を当ててみたいと思います。

 共働きを継続・支援する決め手となる「子ども・子育て支援」については、現在、首相始め政府関係者は、声高に強調され大変力が入っています。消費増税分のうち約7,000億円を投入して推進する予定でしたが、10%の増税が先送りになりましたので、平成27年度予算は、少し減額されましたが、それでも約5,100億円となる見込みです。
内閣府に「子ども・子育て本部」が設けられ、いよいよ平成27年4月から「子ども・子育て支援」の新制度が本格的にスタートします。
その中身は、市区町村が国の財政支援を受けて「認定こども園」や「幼稚園」、「保育所」を計画的に整備する一方、新たに地域型保育として少人数を預かる「保育ママ」や「小規模保育」などを充実させて保育の受け入れ人数を増やして待機児童の解消を進める。また、急な仕事や病気等の際に利用できる「一時預かり」や「病児保育」、「放課後児童クラブ」などを設ける。またそれに従事する保育士、職員の量的拡大と質的向上を図るとしています。
新制度の整備が進み、機動力のある運営ができれば、安心して子どもを預けて働くことができますが、そこに至るまでにはまだ時間を要します。

 現状はどうでしょうか?
卑近な例で恐縮ですが、娘夫婦の事例です。結婚して埼玉県に住んでいましたが、第1子誕生と同時に拙宅近くの賃貸マンションに引越してきました。1年間の育休をとり、その後、就業開始。朝7時過ぎに近くの保育所に送り込み、その足で都心の会社に出勤。勤務先のサポートを得て定時前に退社、18時頃帰宅し、保育所に引き取りに行くという生活スタイルです。ところが、どうしても残業で帰りが遅くなる、熱が出たので引き取ってもらいたい、病気で保育所を休まざるを得ないなどイレギュラーな事態が発生すると「育ジイ」「育バア」の出番です。これが実情です。第2子が生まれたらどう対処するつもりでしょうか?
新制度によって解決されることを期待しています。
蛇足ですが、娘夫婦は頭金づくりに励んでいます。マイホームは少し近付いたのでしょうか?

 冒頭の分譲宅地の区画数は38区画、38棟の住宅が建ち並ぶ訳ですが、1世帯3名~4名として約120~150名が増えることになります。今住んでる地域は、山林を切り開いて造成され大規模住宅地です。スタートして約35年、戸建、アパートを合わせると数千人が居住している地域ですが、高齢化が進む中、若いパパやママ、子どもが増えることで地域の活性化にもなります。大歓迎です。若い世代に会えることが今から楽しみです。

三好 勝  2015年02月20日