2024年08月25日
企業型確定拠出年金、どうやって受取りますか?
時代の変化と退職金制度の変化
1980年代後半に新入社員として社会人デビューした皆さんが、60歳の定年退職を迎えています。多くの方が40歳前後で突然、企業型確定拠出年金(企業型DC)が導入され、退職金制度が大きく変わったことに驚かれたかもしれません。
証券会社に私が入社した1980年代半ばは、55歳定年制でした。その後、60歳定年制が導入されました。昨今は65歳定年に向かいつつあるわけですが、僅か40年の間に10年も長く働く社会に変化しました。
社会環境の変化だけでなく、退職金制度もここ20年の間に大きく変化しました。
以前の退職金は、指定金融機関に、会社指定の日に、予め決められた金額が振り込まれていました。ですから指定日以降に、金融機関の口座を確認すれば、普段と桁違いの残高を見ることができたわけです。
企業型DCの特徴と受取り方法
ところが、20年ほど前に企業型DC制度が導入されました。これまでの退職金制度の一部として、または全面的に退職金制度が企業型DCに置き換わり始めました。
企業型DCは受取金額が運用方法や運用期間によって、人それぞれ異なります。また、いつ受取るのか、どの様に受取るのか、自分自身で決めなければなりません。
そう、今までの退職金とは異なり自分で手続きしない限り、待っていても金融機関に資金が振り込まれることはありませんし、振り込まれる金額も個々に異なります。
定年間近や定年退職後に企業型DCをどうやって受取ったものか、と悩み、相談にいらっしゃる方が、近年増加しています。もう少し早く来ていただければ、もっと良い方法をご紹介できたのに、と残念に思う場面も増えてきました。
企業型DCは、会社毎に多少制度の違いがあり、他の人と同じ受取方が正解にならないケースが多々あります。
受取り方法の選択肢
さて、これを読んでいる企業型DCで退職金の運用をしているあなた。会社の企業型DCの受取方法を確認したことがありますでしょうか。
3つの受取の中から選択できる場合が大多数です。
①一時金で受取る: 一度にまとめて受取る方法。税負担が重くなることもある。
②分割で受取る: 定期的に少しずつ受取る方法。税負担を分散できる。
③一時金と分割の併用: 両方のメリットを活かす方法。状況に応じて使い分ける。
2023年3月末の企業型DCの受取りは、一時金での受取りが約70%程度。受取時の制度の選択肢を知らなかった、手続きが面倒くさいと言った理由で、一括で受取る場合が多いように私は感じています。
しかしながら、受取金額や時期によっては他の受取方法を選択した方が、手取り金額が多くなる場合もあります。
例えば、運用が上手く行き、受取金額が大きくなった女性の場合、③の一時金と分割受取りを併用することで、手取り金額を増やすことができました。
60歳以降も厚生年金に加入する働き方をする場合には、60歳以降、iDeCo(個人型確定拠出年金)に拠出し、企業型DCの資金をiDeCoにまとめて①の一時金で受取る場合、退職所得控除の額を増やせるなど、受取方法のバリエーションは数々あります。
早期準備の重要性
企業型DCを効率よく受取るには、他の退職金の額や、資産の運用の状況との関係もあり、ちょっとしたコツと時間が必要です。先日、とても好調に上昇していた世界各国の株式が突然暴落しました。この時に企業型DCを一時金で受取るために売却をしなければならなかったらどうでしょう?私だったら、とってもがっかりしたでしょう。
企業型DC受取り時期と方法を早めに検討
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それに向けて運用方法を徐々に変更
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制度を上手く活用して受取り
このような考え方が、今後、退職金の受取りには必要です。
55歳を過ぎたころから、以降の働き方や老後の生活を思い描き、退職金の受取り方を検討してみてはいかがでしょうか。まずは会社の担当者に相談して、企業型DCの受取り方を確認することからスタートしましょう。
受取方法に迷った時には、一人で悩まず是非ご相談を。あなたに最適な受取り方法を一緒に見つけましょう!
森村 利果香 2024年08月25日