2024年10月10日
老齢基礎年金が満額に足りない場合の増やし方
20歳以上60歳未満の40年間が国民年金の加入義務期間となり、この40年(480月)が保険料納付済期間となれば老齢基礎年金は満額になります。満額は年間81万6000円(2024年度:68歳以下の場合の額)となっていますが、40年の納付がなく、老齢基礎年金が満額に足りないケースもあるでしょう。しかし、60歳以降、足りない分の年金を増やすことができます。
厚生年金未加入の場合の国民年金任意加入
60歳以降、厚生年金に未加入の場合、60歳から65歳になるまでの最大5年間に国民年金に任意加入することができます。任意加入すると国民年金保険料(2024年度:月額1万6980円)を納付することになり、1カ月納めると老齢基礎年金が年額1700円(81万6000円÷480月で計算)増えることになります。
60歳時点で保険料納付済期間が450月だった場合、このままだと老齢基礎年金は81万6000円×450月/480月で年間76万5000円となります。ここから足りていない30月分について国民年金保険料を納付すると81万6000円(81万6000円×480月/480月で計算)の満額に達します。30か月分の納付で1700円×30月の5万1000円増える計算となります。
また、国民年金保険料に合わせて付加保険料も合わせて納付し、付加年金も増やすことができます。付加保険料は月額400円、付加保険料を1月納付することによって年額200円の付加年金が増える計算です。30月分の付加保険料1万2000円(400円×30月)を納付すると、増える付加年金は年額6000円(200円×30月)となります。老齢基礎年金と付加年金で合計5万7000円増えることになります。
厚生年金加入中の場合
厚生年金に加入中の場合は、国民年金の任意加入ができず、また、20歳以上60歳未満と異なり、20歳前や60歳以降の厚生年金加入によって老齢基礎年金は増えないことになります。しかし、20歳前・60歳以降の厚生年金への加入によって、老齢基礎年金相当の経過的加算額を増やせることがあります。
経過的加算額は老齢厚生年金として支給される年金で、「1701円×厚生年金被保険者期間(上限480月)」(①)から「81万6000円×20歳以上60歳未満の厚生年金被保険者期間/480月」(②)を差し引いて計算されます(2024年度・68歳以下の場合の額)。20歳前・60歳以降に厚生年金に加入すると、①が増え、②が増えないため、①から②を引いた額が経過的加算額として増える仕組みとなります。もし、60歳になった時点で厚生年金被保険者期間が450月だった場合、60歳以降、上限(480月)に達するまであと30月厚生年金に加入することで、1701円×30月=5万1030円の経過的加算額が増えることになります。
なお、厚生年金への加入は最大70歳になるまで可能ですが、厚生年金に加入すると老齢厚生年金は報酬比例部分も上限月数がなく増えます。経過的加算額と報酬比例部分が増えると、実質2階建てで年金が増えることになるでしょう。
五十嵐 義典 2024年10月10日