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家庭経済の耳より情報

2015年12月30日

女性の活躍推進  得な話!、損な話!

 アベノミクスの本丸となる「第三の矢」が苦戦しています。
規制緩和等によって民間投資を喚起する成長戦略と位置付けた「第三の矢」ですが、今一つ実効が上がっていないのが実状です。主な原因は「民間投資の伸び悩み」、「個人消費の伸び悩み」だといわれています。

 「第三の矢」は4項目から構成されています。①投資の促進、②世界経済との更なる結合(グローバル化)、③人材の活躍強化、④新たな市場の創設の4つの項目です。本年6月末に「『日本再興戦略』改訂2015」を策定し、設備増強や合理化投資に止まらず、その先を見据えた「未来投資による生産性革命」を掲げて、“今こそが行動の時”と民間投資の促進を促しています。

上記「第三の矢」の項目「人材の活躍強化」には、女性の活躍推進が織り込まれています。女性の活躍については、安倍内閣は政権発足以来、最重要課題の一つとして推進してきました。本年6月下旬には「女性活躍加速のための重点方針2015」が決定され、本年8月には企業に女性登用を促す法律「女性活躍推進法」が制定されました。
この新法律より、平成28年4月1日から労働者301人以上の大企業は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定、都道府県への届出、外部への公表などが義務付けられました。
菅官房長官のブログには、安倍内閣は、女性の活躍が企業や地域に多様な視点をもたらし、
経済の活性化や暮らしやすい社会づくりに欠かせないとしています。

「女性活躍加速のための重点方針2015」の内容はここをクリック

 前向きなよい話だけではありません。厳しい話もあります。
女性活躍のための環境整備に関し、「中立的な税・社会保障制度等への早期の見直し」が「重点方針2015」に明記されています。
1990年以前は、働き手は夫、妻は家事や育児を担う専業主婦、子育てが一段落すれば夫の扶養の範囲内でパートで働くというのが一般的でしたが、1997年を境に共働き世帯が専業主婦世帯を逆転しました。2014年では、専業主婦世帯720万世帯に対し、共働き世帯は 1077世帯で、約1.5倍となりました。これから先も、女性の社会進出を推進していますので共働きが増えるもの推測されます。
共働き世帯の増加は、当然のことながら、出産、子育て支援、介護支援など新たな社会インフラ整備が必要になってきます。これらに対処するには相応の資金が必須です。限られた財源の中で、今までの制度の延長線では成り立ちません。従来の枠を超えた幅広い支え合いが必要になってきます。
そこでFP的視野で、女性の働き方や社会保障、税金等の観点から整理してみました。

以下の別表の比較表をご参照ください。

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 「中立的な税・社会保障制度等への早期の見直し」とは、専業主婦世帯の「103万円の壁」、「130万円の壁」を見直し、共働き世帯にマッチした枠組みに組み替えることを意味しています。
短時間労働者の厚生年金・健康保険の適用拡大、配偶者控除の見直し等が課題として検討されています。その結果、場合によっては、専業主婦世帯は厳しい対応を求められる可能性があります。

 大きな流れをざっくり掴んだ上で、これからの動向を注視していきたいと思います。

三好 勝 2015年12月30日