ライフプランを作る

家庭経済の耳より情報

2017年10月20日

「ライフプラン」の新しい考え方

 ライフプランとは、これからの自分の人生設計を立てることを言いますが、今までのライフプランは人生70年から90年の時代では、教育 → 仕事 → 引退 のステージがモデルになっていました。

 人生70年の時代では「終身雇用」、「年功序列」でフルタイムの雇用・給料で生活設計がしやすく、有形資産形成が主たる目的でした。引退期間が短いので引退後の生活設計にあまり関心が強くありませんでした。

 人生90年の時代に入ってから、引退期間が長くなり、引退期間の生活設計にプランが集中されてきました。特に引退期間の収入源の確保(公的年金の不安)への計画に重点が置かれてきました。
これからのライフプランの特徴は次のとおりです。
(1) 人生100年のライフプランが必要になったこと。
(2) お金の問題がすべてではないこと。
(3) マルチステージの人生になること。

(1) 人生100年のライフプランが必要になったこと。
 長寿の時代になったこと。人生が長生きになり、今までの 教育 → 仕事
→ 引退 のモデルが成立しなくなりました。 マルチステージの人生となってきました。
生涯に2つまたは3つのキャリアを持つことが必要になってきます。例えば、金銭面を重視して労働し、次に家族とのバランスを優先させたり、社会貢献を軸に生活を組み立てたりすることになります。

(2) お金の問題がすべてではないこと。
 マルチステージの人生では「投資」を怠ってはなりません。今までの人生は「持ち家」や老後生活資金としての有形(金融)資産形成が主目的でしたが、これからは無形(人的)資産への投資や資産形成が必要となってきます。

 無形(人的)資産とは ●生産性資産  ●活力資産   ●変身資産 の3つをいいます。

「生産性資産」とは、
 スキルや知識など収入を得るための資産を言います。
 人生の早い時期に一度まとめて知識を身に着ける時代から生涯に複数の専門技術を 学ぶことができることになります。

「活力資産」とは、
 肉体的・精神的健康と幸福・友人・家族関係の資産をいいます。
 バランスのとれた生活、前向きな親しい友人たちのネットワーク「自己再生のコミュニティ」 他の人たちと結ぶつきが強い人は孤立している人にくらべ、活力がありエネルギッシュで 前向きな傾向がみられるといわれます。

「変身資産」とは、
 人生で変身するための資産「自分をよく知っている」、「多様性のあるネットワーク」「新しい経験に開かれた姿勢」をいいますが、マルチステージの人生では非常に重要 です。自分を変化させながら、アイデンティティと自分を保もてる役割を持ちます。
 有形資産と無形資産とのバランスを取るために、「変身資産」が必要になります。
これからのライフプランでは、「有形資産」だけではなく、「無形資産」についても考慮に入れて人生設計・人生戦略をたてていくことがさまざまな危機を回避することに役立ち、より充実した人生を送りやすくなると考えられます。

本稿は2017年7月26日 日本FP協会主催 パーソナルファイナンス教育シンポジュウム「十人十色のパーソナルファイナンス教育」伊藤宏一専務理事講演
週刊 東洋経済 7/22号 「ライフシフト 実践編 」
リンダ・グラットン著「ライフシフト」 東洋経済新報社刊
を参考にいたしました。

ファイナンシャルプランナー CFP🄬  佐伯 好也 2017年10月20日