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家庭経済の耳より情報

2020年08月10日

人生100年時代、老後資金準備にはiDeCoがお得でお奨め!

 「人生100年時代!」を謳歌する反面、老後に不安を抱いている人が大勢います。
 金融広報中央委員会「2019年家計の金融行動に関する世論調査」(n=3579)によると40%の人が「非常に心配である」、41%の人が「多少は心配である」と8割以上の人が老後に不安を抱いています。理由の1位は「年金や保険が十分でない」(73.3%)、2位は「十分な金融資産がない」(69.7%)、以下「生活にゆとりがなく老後の準備ができない」等、経済的な理由です。

 もう一つ、少し古いデータですが2016年のニッセイ「年金に関するアンケート調査」(n=9073)によると「老後資金として公的年金以外に準備をしていますか」の質問に20歳代で65.4%の人がYesと答えています。30歳代66.4%、40歳代69.8%、若い世代の準備率の高さに驚かされます。

 かつて老後資金の準備には退職金制度が欠かせませんでしたが、退職金の額は減少傾向であり「退職金頼み」は危うくなっています。今、普及が進んでいるのは確定拠出年金(DC制度)です。企業型と個人型があり、企業型DCの加入者は750万人を超えようとしています。個人型DCがiDeCoですが、2020年5月末では約160万人に増えました。国は2016年に個人型DCの普及に力を入れ始めiDeCoの愛称が生まれ、2017年1月からは国民年金3号被保険者や公務員等共済加入者を含む全国民が加入できるようにしました。

 今年2020年5月の年金法改正でDC制度を導入している会社の従業員も自由にiDeCoへ加入できるようになります(注1)。また、企業型DCとiDeCoの合算管理の仕組みが構築され、両者を合わせた残高や運用実績等の情報を確認できるようにもなる予定です(いずれも2022年10月施行予定)。


 企業型DCは企業が従業員のDC口座へ掛金を拠出し、従業員がそれを運用して自分の老後資金を創る制度ですが、iDeCoは国民年金基金連合会が実施するDCに個人が加入、自ら掛金を支払い自ら運用し、老後資金を準備する制度です。iDeCoの掛金の上限額は各人の働き方で異なります。自営業者は月額68,000円(国民年金基金と合算して)、第3号被保険者は月額23,000円です。サラリーマンの上限額は勤める会社の企業年金制度で異なり12,000円、20,000円、23,000円の3通りです。その詳細は省きますが、大きな金額ではないので教育資金の準備と同様に、若い時からiDeCoに加入することをお薦めします。

 衆知のことでしょうが、iDeCoは①掛金は所得控除ができる②運用収益は非課税③受給時には退職所得控除又は公的年金等控除が適用されるという税制上のメリットがあり、老後資金の準備には有効的な制度であることを改めて認識して戴きたいと思います。

 月々iDeCo で12,000円積立てると40年間の積立額は576万円、平均2%の利回りを確保できるとしたら40年後には約860万円、所得税率20%、住民税率10%とすると節税分が約172万円、これを加えると1000万円強の老後資金が準備できます。元本確保型の金融商品だけでは2%の利回りを確保できませんが、投資信託と併せて分散投資をすれば確保できるでしょう。 2018年のDC法改正で企業に継続投資教育の努力義務が課されましたが、加入者自らも投資の勉強を積極的にして戴きたいと思います。

 この1000万円に会社の退職金(企業年金を含む)を加え、子どもの教育終了後の自らの老後資金準備を加えれば「ゆとりのある安心で豊かなセカンドステージ」を創れるのではないでしょうか?

最後に金融広報中央委員会の上記調査に「生活設計策定の有無に関する調査」があることを追記します。「生活設計を立てている」35%、「現在生活設計は立てていないがた今後立てる積りである」が41%と8割近い人がライフプランを検討するとしています。ファイナンシャルプランナーを活用し、効率的で有効的なライフプランをもち、実行されることをお奨めします。

注1:企業がマッチング拠出を導入している場合はマッチング制度かiDeCoかいずれかの選択となる見込みです(詳細は政令等で規定される予定)。

仁科 眞雄 2020年08月10日