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家庭経済の耳より情報

2021年09月10日

短時間労働者の社会保険加入拡大へ!

 2020年6月5日に公布された年金制度改正法「女性・高齢者の就業促進や社会・経済の変化に反映した新たな年金制度の見直し、高齢化社会における経済基盤の充実を目的に改正」が2022年4月に施行されます。

2022年の年金制度改正では、主に以下の4つのポイントが挙げられます。
・厚生年金保険・健康保険の適用範囲拡大
・在職定時改定の導入
・受給開始時期の選択肢拡大
・確定拠出年金の加入可能要件の見直し

今回はアルバイト・パートタイムなどの短期間労働者への厚生年金保険・健康保険の適用範囲拡大について取り上げます。

入野 泰爾 2021年09月10日

(参考)令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大 ―年金機構―
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

●短時間労働者が被保険者となる一定の要件とは

●令和4年10月からの改正
・「特定適用事業所」の要件
(変更前)被保険者(短時間労働者除く)の総数が常時500人超の事業所
(変更後)被保険者(短時間労働者除く)の総数が常時100人超の事業所
※2022年10月以降は「通常の労働者+現在加入要件を満たしている短時間労働者」の人数で判断

・「短時間労働者」の適用要件
(変更前)雇用期間が1年以上見込まれること
(変更後)雇用期間が2か月を超えて見込まれること
※1年以上の勤務期間要件が撤廃

●令和6年10月からの改正
・「特定適用事業所」の要件
(変更前)被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人超の事業所
(変更後)被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時50人超の事業所

以上のような社会保険適用拡大の背景には、多様な働き方が進む中でも、すべての世代が安心して働き、老後の安心を確保するためにあります。
老後の安心を確保する意味においても、現在の年金財政の建付では保険料と給付額とに大きなギャップがあり、いかに保険料を拡大するかが急務となっています。

働き方の形態にかかわらず充実した社会保障の仕組みを強化、夫の扶養に入っている主婦層などの就業促進など、社会保険の適用拡大により、扶養内で働くパート・アルバイト従業員の労働にも大きく影響が出てくると思われます。


■社会保険に加入するメリット・デメリット
●従業員メリット
現在、国民年金や国民健康保険の保険料を支払っている方は、厚生年金被保険者となり、保険料は事業主と折半となりますので、安くなることがあります。また、健康保険では国民健康保険にはない病気や出産での手当金である傷病手当金や出産手当金の給付が受けられます。公的保障の「障害厚生年金」、「遺族厚生年金」の給付対象者にもなれます。また、老齢厚生年金が付加され、将来の年金増額が見込まれます。
例えば、月収88,000円の方の場合、20年で月約9,000円(年額108,600円)、
1年間だけの加入でも月約500円(年額6,000円)が終身給付されます。

●従業員デメリット
社会保険料負担があり、その分手取り額が減少します。デメリットはあるものの、公的保障や年金増額などの老後の家計に少なからずプラスできることを考えると加入する意義はあります。


●企業側メリット「キャリアアップ助成金」
企業側も当然、負担する社会保険料が増えるというデメリットも発生します。
「キャリアアップ助成金」とは、非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善などに取り組む事業主を対象にした助成金で短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成されるものです。
ポイントとしては、労働者の賃金が減ってしまうことがないようにするということです。

このキャリアアップ助成金の場合は、返済義務がない資金ですので企業側には利用しやすいというメリットがあります。

短時間労働者を長時間労働者に変更したとき、新しい従業員を採用して教育するよりもメリットがある場合には、短時間労働者労働時間延長コースのような、長時間労働者に転換する際の助成金が多いに活用できます。


■まとめ
厚生年金や健康保険の加入義務となる企業規模要件が引き下げられることで、若い世代やパートタイム・アルバイトなど短期労働者の年金に対する不安の払拭にもつながります。

社会保険に加入することによって、老齢厚生年金が少額ながら増額され、老後の家計のプラスアルファーが可能となります。
社会保険等の適用の拡大は短時間労働者にとっては味方になるのではないでしょうか。
人口減に伴う被保険者の減少や高齢化に伴う年金給付者の増加など、現状の年金保険料だけでは年金給付は賄いきれていません。
今後、厚生年金保険料を支払う被保険者の拡大が安定した年金給付のひとつの政策につながることを期待します。