保険を見直す

家庭経済の耳より情報

2016年03月20日

超過保険とは!

 超過保険とは、契約金額(保険金額(注1))が保険の対象(建物、家財など)の実際の価額(保険価額(注2))を超えていることをいいます。この場合、実際の価額を超えた部分については、利得禁止の原則(注3)から保険金の支払いの対象とはなりません。

注1)保険会社が支払う保険金の限度額をいいます。
注2)保険の対象の評価額を金銭で見積もった額をいいます。
注3)保険契約者は保険によって利得を得てはならないという原則です。

これに対して一部保険とは、契約金額(保険金額)が保険の対象の実際の金額(保険価額)に満たないことをいいます。この場合、保険金の支払い額が実際の損害額よりも少なくなるときがあります。

 従来は保険契約者の善意悪意を問わず超過部分が無効、つまりその分の保険料が無駄となっていましたが、平成22年から保険法がスタートして以下のように改められました。

(条文1)
原則として超過部分の保険契約も有効であるが、契約の締結時において保険契約者及び被保険者が超過保険であることについて善意でかつ重大な過失がなかったときは、保険契約者は、その超過部分の契約を取り消すことができ、契約締結時に遡って超過部分に相当する保険料の返還を請求できます。

(具体例)
<保険法制定前>
1,000万円の建物に保険金額2,000万円の火災保険契約がある場合、建物が全焼(損害額が1,000万円)した時、実損額1,000万円は支払われるが、その超えた部分1,000万円については保険金が支払われません。

<保険法制定後>
一定の条件の下(上記アンダーラインの箇所)、取消により無駄に掛けていた保険料を取り戻すことができるようになりました。

 超過保険については、実務的には火災保険の事例が大勢を占めており、主にマンションに事例が多いです。一昔前は保険契約者が決めた保険金額(注4)で損害保険会社が引き受けていましたが、上記事例等にみるトラブルからの反省で、保険法の制定を契機として超過保険に関する柔軟な取扱いが行われるようになりました。

注4)火災保険は建物や家財を対象としますが、この保険金額が対象外の土地代を含んだ購入金額であったということです。

佐藤 博信 2016年03月20日