2022年07月12日
【相続・遺言関係】法務局の自筆証書遺言書保管制度、相続登記の義務化
1.法務局における自筆証書遺言書保管制度について
高齢化の進展など社会経済情勢が変化する中で、相続をめぐる紛争を防止するという観点から、令和2年7月10日、全国の法務局において自筆証書遺言書を保管する制度が始まりました。
(1)遺言書保管制度を利用するメリット
① 遺言書が法律の定める方式に適合しているか法務局が確認
法律の定める方式に従って作成されていない遺言書は無効となります。法務局に遺言書を預けると、遺言書の方式に誤りはないか確認してもらえます。しかし、遺言書の内容については確認してもらえませんので、内容に不安がある方は、法律の専門家等に相談することをお勧めします。
② 遺言書の紛失や改ざん等の防止
法務局に預けた遺言書は、遺言者が亡くなってから50年間保管されます。また、遺言書はデータでも管理され、こちらは150年間保存されます。法務局に預けることで遺言書が紛失したり、相続人に発見してもらえなかったり、改ざんされるといった心配がなくなります。
③ 相続発生後、遺言者が指定した方に遺言書の存在を法務局から通知
遺言者が希望する場合、遺言者が亡くなった後、相続人、受遺者、遺言執行者等のうち1名に対して、自分の遺言書が法務局に保管されていることを、法務局から通知してもらえます。
④ 保管の手数料が安価
遺言書の保管に必要な手数料は、1通3,900円です。保管料等の費用は掛かりません。
⑤ 裁判所の検認手続が不要
自筆証書遺言書を作成した場合、遺言者が亡くなると家庭裁判所で遺言書の検認手続が必要になりますが、法務局に預けた場合にはこの手続が不要となり、スムーズに相続手続が開始できます。
(2)保管制度についてもっと詳しく知りたい方は
制度や手続の詳しい説明、保管申請の際に必要な書類等については、横浜地方法務局ホームページ(自筆証書遺言書保管制度について)で確認ができます。
2.令和6年4月から相続登記の申請が義務化されます。
これまで相続登記の申請は任意とされ、申請をしなくても相続人が不利益を被ることはほとんどありませんでした。また、相続した土地の価値が乏しく、売却も困難な場合には、費用や手間を掛けて登記申請しようとする意欲が沸きにくかったのが現状です。こうしたことなどから、相続登記がされず、所有者の分からない土地が増加しました。
そこで、所有者不明土地を解消するための不動産登記制度の見直しが行われ、令和6年4月から相続登記の申請が義務化されることとなりました。
相続登記の義務化など、相続登記に関する詳しい情報は、法務省ホームページ(あなたと家族をつなぐ相続登記)で確認ができます。